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08_「事業の転換を考えるタイミング」についての話(※フレームワーク共有)


▼このテーマを読んでほしい人
・事業の方針転換の必要性を感じている経営者・事業担当者
・方針転換をどう進めていけばいいかがわからない方
・事業が軌道に乗ってきて拡大を検討している個人事業主や経営者
・新規事業の検証フェーズが終わり、拡大準備をしている事業担当者



今回のテーマは、事業の方針・路線変更についてです。
新規事業、既存事業を問わず、事業を成長軌道に乗せていくために方針や路線変更をすること、いわゆる「ピボット」は日常茶飯事です。

事業のピボット=「出直し」といったイメージを持たれる人もいるかもしれません。しかし、売上や利益をしっかりあげていたとしても、考えつづける必要のある重要なテーマだと筆者は考えています。

■そもそも、事業をピボットする目的とは何か

「顧客満足度が高い状態」を創り続けるためです。
なぜなら、事業継続の原則として「顧客がお金を払ってでもあなたのサービスを選び続けてくれている」ことが必要だからです。

新規事業を立ち上げる際の目標として「PMF(プロダクトマーケットフィット)」という言葉があります。PMFのことを解説をしているページは沢山ありますが、意味を検索してみると「顧客が満足するサービス・商品を開発して、適切な市場(マーケット)に適切にサービスを投入している状態」と定義されていることが多いようです。

ただ実際の現場や会話のシーンでは、後半の「マーケットにサービスを適切に投入する」に寄っているということも少なくありません。

事業やサービスが「PMF」に近づくにつれて、需要がどんどん増えていきます。「事業が成長軌道に乗った」というような表現がわかりやすいかもしれません。そうなると採用・広告・開発などに資金を投下して、売上・利益をグロースしていくことに100%注力します。
流行った飲食店が、色々なエリアに急ピッチで店舗を増やしていく流れは想像しやすいのではないでしょうか。

ただグロースを継続するためには、よほど参入障壁が高く、競合もいないブルーオーシャンの市場でない限りは、「顧客が満足するサービス・商品を開発できている状態」を継続することが前提になるのです。

ここで言いたいのは「PMF」を早く達成するために、急拡大のみに投資の焦点を当ててしまうと、それに伴うリスクが度外視されやすいということです。

例えば、採用はできても教育が行き届かずにオペレーションがガタガタになってしまったり、サービスの開発が間に合わなくなって不具合が頻発したり、カスタマー対応に手が回らずレスポンスが落ちたりします。
俗にいうパンパンの状態です。
もちろん、それこそが健全であり、そのような時期を経て事業を成長させていくのが当たり前だというご意見もあるかと思います。

ただ結果として、マイナスイメージがついてしまってファン作りがしづらなってしまったり、参入してきた後発の競合に、シェアを奪われてしまったりしては元も子もありません。

つまり今は順調に見えていても、早晩、事業が立ち行かなくなることが起こるリスクも確実に隣に存在しています

もちろん競合や新規参入の脅威を常に背に受けながら、サービス開発や教育体制も急がなくてはいけないという環境で、舵を切りつづけねばいけない経営者の苦労は相当なものです。
だからこそ順調に見える時ほど、盤石な体制や顧客体験のことを考えておかねばいけないと考えています。

もし顧客がいまの5倍、10倍になっても、同様・同質のサービスを顧客に提供し続けることが可能か?

この問いに自信をもって答えられない箇所があれば、顧客満足を「羅針盤」に置いてモデルを見直す必要があるでしょう。

■実際の現場では、考える時間は限られている


言葉ではなんとなくわかるが、「顧客が満足するサービス・商品を開発できている状態」を具体的にどのように見極めしていけばいいのか。
サービスに手を入れようとすれば、なにをどう意思決定するにしてもコストはかかります。
筆者自身も、ここの見極めが最も重要なプロセスだと思っています。

クチコミの数、ポータルサイトのレビュー数、スコアなど参考指標はたくさんありますが、特に絶対的な指標や、考えるためのフレームワークが存在しているわけでもありません。

業界のことをよく知っていて事業の立ち上げをサポートしてくれるアドバイザーやスペシャリストが身近にいたり、経営陣に十分に吟味検討ができる時間があったりという理想的な状況が揃っていればよいのですが、実態はそのようなケースは稀だと思います。

特に新規事業で、まだ検証フェーズ=「市場の課題を自前のサービスで解決できるか検証している段階」においては、経営者や企画担当者が自らが手を動かし、検証を行わなくてはいけない状態であることも多いと思います。

なので、「考えねばいけないことはわかってはいるが、あまり手を付けられていない」という状況が(どのフェーズでも)生まれがちになります。

■参考フレームワーク(ピボットキャンバス)の共有

なので、このテーマを読んでくださる方にとって、少しでも有用なサポートができればと思い、筆者が独自で使用している「ピボットキャンバス」というワークシートを共有したいと思います。



このワークの目的は「ギャップを明らかにし、具体的にやるべきこと」を導出するためと、その補助です。
このフレームワークは2つのブロックに分かれてて、上のブロックが「現在の状態」、下が「変更後の状態」を指します。
以下にざっくりとではありますが、活用のポイントを書いておきます。

【ピボットキャンバス活用のポイント】
▼上のブロックについて
 1.上のブロックでは、「ギャップ」を明らかにすることが目的。
 2.「顧客の視点」は、5人以上の利用者インタビューの収集を推奨。
 3.「顧客体験」にギャップが無い場合、「満足度をより高めるには」
   という視点で理想と実際のサービス体制のギャップを検討してみる。
▼下のブロックについて
 1.このブロックでは不足を明確にし、やるべきことを決めることが目的
 2.⑩⑪の価値や体験を「顧客のコミュニケーション」にどのように
   落とし込んでいくかを明らかにする。
 3.⑮⑯を埋めるときは、ヒト・モノ・カネといった
   現状の経営資源の枠組みで考えると整理をしやすい

なるべく埋めやすいように、シンプルな問いと作りにしていますが、芯を食った回答を導くには、「顧客理解」と「価値提案」の反復や吟味が必要になります。
そのためには試行回数が必要です。
なので一度作って終わりではなくver1,ver2と何度も繰り返し使うことを想定しています。

ほかのフレームワークなどと組み合わせて使って頂くのも効果的ですが、ネクストアクションと優先度を決めることを最終ゴールに置き、活用いただければ幸いです。

■まとめ

今回は、「サービスをピボットすること」というテーマについて書いてみました。

肌感ではありますが、実際に事業をピボットするケースの半数以上は、「事業を根本的に見直さねばいけないとき」もしくは「新たな柱を立ち上げねばならないとき」です。

そのような切羽詰まった過程の中では、実際にピボットを何度も繰り返さねばいけないということもあると思います。

最終的な製品やサービスの形に落ち着くまで、ピボットを10回以上繰り返したという例もあり、結果として当初のサービスと全く違うものになっているケースもたくさんあります。

ただ重要だと認識しておくべきなのは、ピボットの回数ではなく、サービスを提供する側と、購入・利用する側、双方のギャップは常に発生し続けているということだと思います

最も重要なのは、このギャップを埋め続けるための顧客とのコミュニケーションを重ねることにあると思っています。

サービスの開発・改善はもとより、どうしたら顧客に価値が届くか、どのように提案すれば価値を理解してもらえるかを言語化・実践しつづけていくスタンスがとても重要なのだと思います。
ご参考にしていただければ幸いです。


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