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【SLAM DUNK GI】126話「恩返しの形」


三田良佑は移籍金を残すという恩返しの形を提案した。

「河田さんの契約期間が残っている場合、契約解除金支払わなければ獲得できません。我々が支払うことによってルームショー埼玉さんに移籍金、資金が入るのです。その資金をどう使うかはいろいろな選択肢があると思いますよ。そのような恩返しの形もあるのではないでしょうか?」三田


「・・・それがプロのモデルケースだべか?ですか?」河田

https://note.com/tyimage/n/n051957452868

「河田さんの年俸が高騰すればチームとしてそれを抱えることになる。移籍金を残せば、新たな選手を獲得するもよし、施設を充実するもよし、アリーナを作るのもよし、育成に力を入れるのもよし、選択肢は広がると思いませんか?」三田

「プレーではなく、資金、環境で恩返しできると?」河田


「そうだ。河田。そうすれば裏切り者呼ばわりされることはないさ。」木暮

「ちょっと待ってください。実は河田雅史との契約期間は今シーズンで終了して、今回は今後の契約交渉を兼ねてここにきています。厳密に言うとフリーの状態なのです。それでは移籍金は発生しないのでは?」新田


河田雅史は国内2年海外2年の4年契約でプロジェクトを進めてきた。

https://note.com/tyimage/n/n91eab56b5394

もちろん出発前の河田の恩返し発言で復帰は規定路線と見られていたが、厳密にはフリーで移籍金は発生しない。

そもそも三田の提案が成立しないのである。


三田さん、おれは裏切り者にはなりたくはね   ぇ      、、、です。」河田


「河田さん、僕も中学の時、バスケ部でして、プレーヤー河田雅史の魅力、可能性を感じている1人のファンでもあります。ルームショー埼玉で一緒に勝利を追いかけたいと思う一方で日本のバスケット界にその力を使うべきなのでは?とも思っている。河田さんを独占したいのではあればそもそも三田さんに会わせるべきではなかったのかもしれない。それでも三田さんの話を聞いてもらって、河田さんを尊重したいと思った。移籍金といい形は、確かに総合的に判断して、いい落とし所なのかな?」新田


「河田さん、私はプレーヤーにとって環境が大事だと考えています。施設はもちろんのこと海外遠征等もさせます。」三田

「新田さん、あなたもクラウドファンディングという新しいものを取り入れた。そうやって新しい道を切り開いていくことを常にチャレンジする人だと思っていますよ。」三田


「俺はUJBリーグ設立補佐官、理事としてここで日本バスケット界の遅れを取り戻し進化させたい。その為にリーグの成功、スタープレーヤー、スター軍団が必要だと考えている。」木暮


「Jリーグ開幕前、日本をW杯に出場させると帰国した三浦知良選手は、歴史を10年早めたと言われています。そういうプレーヤーの一人になってほしい。カズさんに憧れて、サッカーを始めてJリーガーになったという選手が今プレーしているんですよ。」三田

「・・・・」河田

河田は悩んだ。

そして

「・・・でも 移籍金は残せないんですよね?」河田


「わかりました。新田さん、私がいろんな活動をしているのはご存知かと思います。その中で投資家もやっております。日本バスケット界、UJBリーグ、ルームショー埼玉、河田雅史選手に投資をします。」三田

「どういうことですか?」河田

「サッカー界では、特にヨーロッパですね。契約満了になるシーズンの数シーズン前には契約延長の交渉サインをします。」三田

「なぜなら契約満了になればフリーで移籍が出来てしまうからです。クラブ経営もビジネスです。フリで移籍されたら利益にならない契約が残っているからこそ移籍金が発生し、クラブは選手を売却し移籍金で利益があげることが出来る。」三田

「・・・・」

「これはね、ある選手の話なんやけど、当時所属していたクラブは通過点と考えていて、ビッグクラブにステップアップしたいと常に移籍を視野に入れていた。」

「でもね、出来なかったんですよ。何でだと思いますか?」三田

クラブ間の交渉がうまくいかなかったと?」新田

移籍金の設定が高くてね。結局その金額ならいらないと、、、ただ僕はね、その選手の実力、どんなに高い金額を払ってでもチームに欲しいと思わせる力が足りなかっただけやと思っています。」三田


「三田さん、、それって?」新田

「もう1度言います。我々、プレパラシオン東京は河田雅史選手が欲しい。」


「この意味が新田さんならわかるでしょう?プレパラシオン東京のオーナーとしては失格なのでしょうけど、それほど価値のある投資だと思っています。これがプロの世界なんやというモデルケースを示したい。その為の投資だと考えます。」三田

三田良佑が話したある選手というのは、自分であり自身の経験であった。
新田裕一もそのことに気付いた。

オブラートに包んだ表現になったが、三田は河田雅史がルームショー埼玉と契約を結んだ上で、移籍金を払ってプレパラシオン東京が獲得するという意志表現であり、
それが「恩返しの形」になるという提案だった。

驚くべき提案を聞いた新田と河田は、改めて三田が本気なのだと確認した。


「株式会社ルームショーの理念でもある、
仲良くなるなら双方向が大切」「人は絆にお金を払う」。
私も賛同しています。正に理念に沿ったものを実現できるのではないでしょうか?まずは河田さんと交渉をして下さい。しかしまたお会いできると信じています。」三田

「河田、これはまだ発表は先になるんだが、プレパラシオン東京に流川楓が移籍することが決定しているんだ。
流川も日本の歴史的な一歩と同時に再スタートを切る。」木暮


流川!? あの流川だべか?」河田



そうだ。俺の後輩だ!」木暮
「それなら、、、倒さなければならねえべ?」河田


河田は流川とチームメートになることに対して難色を示したのか?



「流川さんはNBAでもまれてきた。もしかした日本とのギャップを感じるかもしれない。でも河田さんを練習から常に相手にすればそこも解消されるでしょう。」

「河田さん、負けないですよね? チームメートになれば毎日、対戦できます。お互い刺激になるでしょ?」三田


「スター候補に間違いないが、流川は無口だ。あいつはあいつのスタイルでやるが、河田、そこらへんは兄貴分として、流川を支えてくれないか?」木暮

「・・・」

流川楓を支える、、?か。NBAレベルと毎日、体感できる、、?」河田

「木暮、高校の時から女子にキャーキャー言われてチョーシこいてたべ?」河田

「はは(笑) 本人はどうか知らないけど親衛隊がいたから(笑)」木暮

「締めなアカンべ?」河田

「ほどほどにな(笑)」木暮

河田はちょっと先の未来を想像した。




心が動いていた。

新田さん、三田さん、恩返しはしますね。」河田


ABA Coca Colaリーグのシーズンが終了する頃、河田雅史のメルボルン・キングスからルームショー埼玉への復帰、
契約延長が発表された

ファン、サポーターに歓迎された河田だったが、そのニュースから1カ月も経たない内に驚きのニュースが発表された。


「河田雅史 プレバラシオン東京 電撃移籍」
「プレパラシオン東京オーナー、三田良祐がルームショー埼玉へ契約解除金を支払う」
「ルームショー埼玉 経営危機!? 河田雅史放出」
「河田雅史 ルームショー埼玉 退団。巨額の移籍金を残す」
「ルームショー埼玉 新たなスター選手獲得か!?」


ユナイテッド・ジャパン・バスケットボールリーグ開幕前に、プロチームの在り方、恩返しの形を提起する事例となった。

この議論こそ、UJBリーグチェアマンである三田良佑の投資だった。

河田雅史、26歳
プレパラシオン東京 入団

河田雅史
「人は絆にお金を払う」編

 完

次章へ続く


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