見出し画像

教授のプロジェクト~被験者③文秋~


いやはや、昨日はクリスマスイブでサンタの仕事が忙しゅうてこの講義を休ませてもらって申し訳なかったのう。というのはもちろん冗談で、本当のところは昼間っからパーティーで盛り上がってさぼっただけなのじゃが。ふぉっふぉっふぉ。ああ、宿酔ふつかよいでまだフワフワしとるわ。

それでは始めるとするかいの。夏樹と一緒にこのプロジェクトに参加した男子学生には、文秋ふみあきと名付けた。文秋は夏樹とは違い、おとなしく思慮深い性格じゃった。知識が豊富で、ワシがプレゼントした野菜の苗の育て方なんぞは、彼が他の2人に知恵を与えておったのじゃ。野草やキノコについても詳しく、文秋が参加してからは、ワシの助けは必要なくなったのじゃわい。これでワシは観察に専念できるようになったわけじゃ。

この男は小春のことを好きになった。こちらはもう見ていてありありとわかってしまったのう。賢いと言っても所詮、男というものはこういう事に関しては非常にわかりやすいわい。

もし、小春が夏樹に気があるのなら、見事な三角関係が出来上がったと言って良いじゃろう。ただ、誰もそんな気持ちを表には出そうとはしなかったのだけれどな。うーん、本当に可憐いじらしいのう。

特に文秋はでしゃばるような性格ではなく、小春と夏樹が無邪気に戯れていても自分の気持ちをおしころして、餌を求めてやって来る猫たちを撫でやっているというような男じゃ。だから3人のバランスは壊れる事はなかったのじゃ。

しかし、4人目の被験者が加わった時に、そのバランスは簡単に崩れてゆくのを、ワシは大変興味深く眺めていたのじゃ。

それでは例によって、この続きは次回のリモート講義にするとしよう。では諸君、次も必ず参加するようにな。ごきげんよう。

ゆる~く 思いついたままに書いてます 特にココでお金稼ごうとは思ってませんが、サポートしてくれたら喜びます🍀😌🍀