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採用・組織構築において"人が先"か"組織が先"か

こんにちは、邨山毅です。

アドラーの名言「人の悩みの9割は人間関係だ」が最近頭の中でループしています。悩み多きわけではないですが、悩むとしたら人間関係が多いです。
多分みなさんそうですよね。

そんな悩みを減らす思考のアウトプットです。


採用、組織でぶつかる課題「人が先か組織が先か」問題

採用や組織について考えたことある方なら、一度はぶつかったことがあるのではないでしょうか。

以前執筆した記事の"これからの課題"パートでも言及しているものです。

例えば採用の過程で、
「すごく採用したい方がいるのにそのポジション空いてない。。」
「カルチャー合うか微妙だけど、スキルは合ってるし採用急務だから内定出すか。。」
と思ったことないでしょうか。
これがまさに「人が先か組織が先か」問題です。

極端に言うと

  • 人先行:人柄が良くカルチャーが合うのであれば、ポジションマッチしなくても(もはや募集してなくても)採用する

  • 組織先行:募集ポジションに合うスキルセットの人で、良い方を採用する

です。

結論、人先行で採用すべき

現時点でのポジションを取ると、”スタートアップのシリーズCあたりまでは特に”人先行で採用すべきと、自分の中では結論づけています。
これまでは、そのような採用をして成功体験を積んできました。

理由として大きいのは
1. 結局、良い(学べる)人はどのポジションにいてもワークする
2. スタートアップはすぐにやること変わるので、スキル依存だと余剰人員になりかねない
3. カルチャーマッチしない人を採用した時のマネジメントコストが大きすぎる
です。

山口周ファンの方ならご存知の「ビジョナリーカンパニー2」や、ナポレオンも以下のような名言を残しています。

行き先を決めてからメンバーをバスに乗せるのではなく、
メンバーを乗せてから行き先を決めよ

ビジョナリーカンパニー2

「真に恐るべきは有能な敵ではなく無能な味方である」

ナポレオン

上記の結論に至るまでにそこそこの時間を費やしましたが、書籍・実体験・同僚とのディスカッションを経て辿り着きました。

中でも最もインパクトがあったのは、以下の「人を選ぶ技術」と言う書籍です。この本を読むだけで、圧倒的に人先行型の思考になると思います。

この本を読んだとて概念は理解できても即座に実務に転用できるわけではないのは悔しい部分ですが、要は「その人を突き動かすエナジーさえ擦り合わせられれば、あとは誤差」です。

人先行の採用とは

「人を選ぶ技術」より

少し具体の話に降りますが「人を選ぶ技術」の中身を一部紹介します。

著者の小野さんは人物を4階層に分けており、上段ほど、変わりやすく分かりやすいものになっています。
その性質上一般的な採用面接では経験・知識・スキルを重視しがちだが"本来みるべきは地下層"といった構成になっています。

それぞれにさらに構成要素がありかなり深い内容でして、採用や組織に関わっている方は是非一読されることを推奨します。キリがないので割愛

「人を選ぶ技術」より

なかでもB2とB3には感心するところが多く、これまでの経験で何となく仮説として感じていたことがスッと言語化されて腑に落ちた感覚を覚えています。好奇心、大事です。

とはいえ難しいのはそれを候補者の方から引き出すこと。何度も読み返しながら習得に励みます。

候補者の本質を読み解く上でとても大事なこと、以下に引用します。選ぶ側としての大事なマインドセットです。

 本人すら気づいていない有害な本質を察知する──これは相手の本性を暴いて排除するのが目的ではない。人間は完璧ではない。誰しも、窮地に陥ったら何をするかわからないという地雷を踏まないようにしながら生きている。「この人はもしかしたら……」などと色眼鏡で見ながら一緒に仕事をするのも生産的ではない。 
 大事なのは排除や差別ではなく「そういうリスクがあることをあらかじめ認識しておくこと」だ。そしてある程度は許容すること。許容範囲を超えたらどうするか、心づもりをしておくこと。つまり〝腹をくくっておく〟ことこそが、本質的なリスク管理になるのである。

人を選ぶ技術

人先行の採用の難しさ

「人先行」と言うことは、上記でも記載の通り、職務経歴書はほとんどアテにしないと言うことでもあります。

ダイレクトスカウト系のプラットフォームでスカウトする際などは最も頭を悩ませます。
経歴書ではほとんど判断しないのに経歴書でスカウトを送る人を選定しなくてはいけないパラドックスに陥るため、もはやビズリーチの全登録者にスカウト送って差し上げたいとすら思います。

そもそも極端な話、人先行で採用しようと思ったら募集要項なんて本来意味をなさないはずで、全てオープンポジションで選考に乗ってもらうべきですね。(たまにオープンポジションの募集要項しか掲載してない企業さんを見かけますが、そういうことかな?と勝手に解釈しています。)

ただそんなことを言っていると興味獲得できないので募集要項自体は作成してますが、抽象度は高く作っています。
このように考えると、カルチャーを伝える採用広報はとても大事ですね。

人先行なのは採用だけでなく組織も

ここまでは採用文脈ですがこの概念は組織設計でも同じだと思っており、人先行での組織設計を意識しています。

僕自身は基本的に、チームの方々が最大限パフォーマンスが発揮できるよう各々にイシューを設定し、事業運営上必要だが埋まってない(浮いたボール)役割を自分が持つような動き/組織作りをしています。

役割としてはもちろんマーケティング、プロダクトマネージャー、CS、PR、事業開発、、と世間一般で言われるような分割はありますが、基本的には人に対して適切に役割を再定義するような形を取っています。
その方が、全体最適なパフォーマンスが出るのではと仮説を持っています。

余談ですが、欧州サッカーでも”自分の得意なフォーメーション/戦術に合った選手を起用する監督”と”既存の選手の中で最適なフォーメーション/戦術を取る監督”がいて、特徴がくっきり出て面白いです。

市場から見ると、組織先行にはそもそもの難しさも

以下の記事で紹介した「組織デザイン」の中で述べられていることなのですが、組織先行の採用はそもそも日本市場においては(比較的)難易度が高いです。

特に米国においては
・ビジネススクール等の社外のシステムが整っている
・労働市場において人材の流動性が高い
ために必要な人材が市場から調達可能ですが、日本においてはそのどちらも満たされておらず、そもそも組織先行の採用は机上の空論になりがちです。

結局、どんな戦略も兵站がないと始まらないと言うことですね。

おわりに

ここまでの内容をひっくり返してしまいますが、最近、「とはいえ組織先行でも採用しなければ」という機運も高まってきています。
現段階では人先行のポジションを取ってますが、2ヶ月後には組織先行派になってるかもしれません。悪しからず。

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