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#2 直前期の過ごし方

こんばんは、ちゅいおです。これを書いているのが1月14日。いやあ、中学受験も差し迫ってきましたね。ということで、今日は直前期の過ごし方に触れたいと思います。

学力は、いつまで伸びる?

よく聞かれる質問ですね。学力は、果たしていつまで伸びるのか? 直前まで一生懸命勉強する必要はあるのか。うーん、これは難しい。結論から言います。

適切なことをやれば、伸びます。

当たり前だろ、と言われそうなので、詳細をご説明しましょう。
持論なのですが、直前期の勉強は、「新しいことの吸収」ではいけません。もう、基本的なことはすべて頭に入れている前提です。直前期に行うべきことはチェック作業。つまり、

「覚えていたこと・知っていることに、関連する知識」
「以前覚えたこと・知っていることを忘れていないか確認」

こういった作業を主に行うことが良いでしょう。以下、科目ごとにお話ししましょう。

①国語

漢字ですね。漢字は大事。過去問をやって、漢字の書き取りが出ている学校は、まず間違いなく漢字が出ます。それに、社会や理科の記述で漢字を間違えたら、まず間違いなく減点されます。漢字学習はどの科目に通用する武器になるでしょう。
同様に、知識問題。中学入試だと、ことわざや体の一部を使った慣用句四字熟語なんて頻出です。逆に、文学史や故事成語は学校によって出たりでなかったりなので、これは過去問研究したうえで取り組むとよいでしょう。

直前期、塾の漢字のテキストはもう全部覚えるまでやった!と言う人は少ないはず。再度取り組むなり、間違えた問題だけピックアップしてやるなり、空き時間におすすめです。

そして、もし漢字のテキストがない!というのなら………
漢字力と知識、両方を補える魔法のテキストがあるのです。
それは、漢検。10級から1級まである漢検。ちゅいおもかつて、中学生のときに準1級を取得しました。この漢検、小学校1年生が10級レベルなのです。つまり、小学校6年生は5級を勉強すればよいということになります。

おすすめは過去問。間違えた問題は、ぜひ別のノートとかで何度も解き直すとよいでしょう。ゲーム感覚で解き進めれば、どんどん実力がつくこと間違いなしです。
また、中学入試の「読み」は中学生の学習分野から出題されることも。漢字が得意で興味のある生徒さんは、もう少し上の級で読みだけ練習してみるのも良いかもしれません。
ちゅいおはかつて小学6年生のとき、2級の勉強をしていました。中学受験直後に受けて、合格した思い出があります。

②理科

理科は計算と暗記に大きく分けられる科目。算数が得意、理系大好き!な生徒さんは生物や地学の暗記部分につまづきがちですよね。大丈夫、直前まで復習すれば、理科をのばすことが可能です。

理科で大切なのは、「テキスト部分を読み流す」ことよりも、「一問一答をたくさん解く」ことだと思うのです。意外と理科の知識を聞いてくれる問題は希少です。多くの大手塾が、6年生になってからは物理・化学の計算ばかり。直前期は、意識的に知識もおさらいしておきましょう。

かつて、サピックスに優秀な教材がありました。それがこちら。

その名も、『記憶の635』。一問一答が635問盛り込まれています。かなりの枝問に分かれているので、実際は1000問以上あった印象。サピックス生たちは、6年生の一年間で、毎週少しずつこのテキストを暗記し、暗記テストを繰り返していきます。やがて受験期にはすべてが完成し、頭に入っているという優れもの。ちなみに、5年生には『記憶の535』という635の体験版みたいな(それでも十分にえぐい)が配られていました。

しかし、今はこちら現役の教材ではありません。ちょっと残念なのですが、よりこぎれいな『コアプラス』と言う教材に生まれ変わっているのです。

少し問題数があるので直前といいつつ半年くらい前には入手して、まずは読書、そして赤シートで隠してテスト、などと使っていくとよいかもしれません。細かい知識まで完璧になります。できれば、おうちの人と対話形式で振り返るとよりよいかも。

そして、意外とあなどれないのが「理科の時事問題」。理科も、宇宙関係や国際条約など、時事問題が出題されるんです。毎年10月くらいから、書店で多くの時事問題対策の問題集が発売されますね。大手の塾はだいたい作成している印象です。おすすめはこちら。

栄光ゼミナールの『重大ニュース』。バランスよく、社会と理科の時事問題が載っています。解説部分と問題部分に分かれているので、一日一単元、と決めて解説を読み、そのあとで問題を解くことがおすすめです。

③社会

暗記科目と言ったら社会。おうちの方は割とそう思いがちです。しかし、現在の中学入試のトレンドは「考える社会」。知識だけでは解けないんですね。どういうことか。
以前、それこそ2000年代の社会では、「三越本店にある生き物の銅像はどれ?」とか、「富士山がふくまれる国立公園は?」といったマニアックな知識が聞かれてきました。いわゆるオタクな男子と、がり勉の女子がしのぎをけずって解いていくような(偏見ではありません)。

実際には、知識を基にして考えたり、組み合わせたりする表の問題、グラフの問題、記述の問題が多いのが昨今。しかし、逆にいうと、知識がなければ戦場に立つことすらできません。ラスト半年から受験勉強をした、といった生徒さんが苦戦するのは、実は算数の次に社会なんです。

手っ取り早く知識の確認をしたい、あまり高いレベルを望まない。そんなあなたにお勧めなのが日能研の『メモリーチェック』。

正直レベルは低く、偏差値55くらいまでしか対応できないような基本問題がズラリ。でも、意外と生徒さんは解けないものです。社会が苦手……という方は、実は過去問を解きまくったり問題集を解きまくったりするより、まず覚えることが先決です。覚えていないのに解き進めても、自信を失って合格は遠ざかる一方だからです。ちなみにメモリーチェックは解答欄が別売りです。節約のためにも、ノートに解けばよいでしょう。

ところで、社会で合否を分けるのは「地理」「歴史」「公民」のどれだかご存じですか? こちら、地理が最も重要だと言われています。表やグラフで問題をいくらでも難しくできるからですね。では、直前期の地理はどうやって確認していきましょう。

日本のすがた』。入試のデータの元ネタ帳です。本当は大人向けの『国勢図絵』『データで見る県勢』があり、その抜粋版としての『日本のすがた』になります。子供向けとはいえ、かなりのデータ数。読書したり、ランキングの確認をしたりするだけでかなりの学習効果が期待できます。また、地図に関しては白地図の学習が良いでしょう。白地図帳は、Z会やサピックスなど、名だたる塾から出版されています。

また、その年によって傾向が異なるのが時事問題。これはどうやって磨けばよいのか。おすすめは、「1月入試の問題で学ぶ」になります。栄東、開智、東邦大東邦、市川といった1月校を受験する意味、こんなところにもあったんですねえ。

直前期にやってはいけないこと

では反対に、やってはいけないことはあるのでしょうか。ということで、いくつか挙げていこうと思います。

①過去問のやりすぎ

過去問を解くのは悪いことではありません。しかし、大事なのは「過去問を解いても学力は上がらず、上がるのは調整能力だけ」と言うことです。
たまに保護者の方で、「偏差値が10くらい足らないので、残り半年は第一志望の過去問だけ個別指導でやってもらい、第一志望に調整して一発合格を目指す!」と言い出す方がいらっしゃいます。はっきり言います。無意味です。
野球で例えるならば、マウンドからキャッチャーミットまで球が届く力がないのに、変化球の練習や、ツーボールツーストライクに追い込まれたときの想定練習をするようなものです。
バスケットボールで言うなら、ドリブルやシュートを一切練習していないのに、とりあえず試合に出るようなものです。
たしかに、「良い球」を見極める力は多少磨かれるかもしれませんが、基本となる学力はまず向上しません。

逆に、基礎を固めている生徒さんなら、過去問を解き、解き直しをするというサイクルで、忘れていたことや抜け落ちた知識を補充することができ、過去問が役に立つのです。ですから、直前になって新しい学校の過去問をどんどん増やすことも無意味と言えます。

では、過去問の2周目はどうでしょうか。
第一志望の過去問なら、2周目も必要でしょう。ですが、学力を高めるためではなく、1回目より点数が伸びたことで自信をつけるため、あるいは解き直しをへてちゃんと身に着いたか確かめるため、といった作業になります。

②マイナスな声がけ

受験やスポーツを経験された保護者の方ならよくわかると思うのですが、人間というのは他者からの声がけ、働きかけでパフォーマンスが大きく変化します。親子での初めての受験だったりすると、おうちの方が不安になることもあるでしょう。しかし、マイナスな声がけはダメ、絶対です。
叱りたいときは、マイナスとプラスを一緒に言うようにしましょう。

「あと〇〇日で受験じゃない!間に合わない」 ではなく、
「あと〇〇日で受験だから、出来ることを考えていこう」 です。

また、親子の衝突が増えるのも直前期ならでは。保護者がイライラし、泣いたり怒ったりしそうなとき、当たり散らしてしまいそうなときは、ぜひ塾や学校の先生に相談しましょう。そういうときのための先生です。
逆に、子供の態度や過ごし方に不満なとき。直前期に家でぶつかるくらいなら、塾や学校の先生に相談し、そちらから注意してもらうのもまた一策です。
なんだかんだ、塾の講師は子供を叱るのに慣れています。思春期の子供も、親より教師の言うことを聞く、なんて話もよくありますから。

ちなみに、入試直前の子供が親に言われて傷つく言葉ナンバーワン、
「最悪、公立に行けばいいから・・・」
だそうです。こんなに頑張って勉強してきたのに、なんてこと言うんだ!と、まあこうなるわけですね。

なんだかんだ、ゆとりは大切

入試直前期は追い込みの時期。みんな死に物狂いで勉強します。1日10時間がめど、塾ではそんなふうに指導されがちです。
でも、あんまりがんばると疲れちゃいますよね。ある程度肩の力を抜くことも大切です。12月の時点で少し余裕がある場合は、1月は最終チェックとなります。学力を伸ばすより、学力をキープするほうが大切。心身のバランスを保って、穏やかに日々を過ごしましょう。

そのためには、学校を休むということも選択肢の一つだと思います。ただ、共働きの家などで、家に一人きりにするのはまずいですね。塾が午前中から面倒を見てくれるなら、学校を休む。あるいは、どちらかの保護者が面倒を見て付き添う。そうでなければ、午後早退して、夕方の早い時刻から塾の自習室にこもるのも良いかもしれません。子供を一人きりにしないことが大切です。

ときには勉強量より心のバランス。これが直前期をばっちり過ごすコツではないでしょうか。
ちなみに、わたくしちゅいおは、中学受験直前の1月、ほとんど勉強しませんでした。いえ、言い訳すると、【学校に行く・学校の休み時間や自習時間で塾の宿題を終わらせる・塾に行く】の流れが完璧にできていたので、勉強量としては足りていたと思うんですね。
ただ、家では勉強しようとすると、あせりからか勉強が手に着かず、何もかも中途半端になってしまったのです。結局、ペースを取り戻したのは1月20日でした。でも、むやみに慌てず、心が落ち着くまで数週間穏やかに過ごしたことで、ラスト10日間で上記のような勉強に時間が使えたと思います。

保護者の方も、12歳の受験生を「子供」と決めつけて頭ごなしに叱り飛ばすのではなく、なぜさぼっているのか、なぜ勉強が進まないのか、寄り添ってあげることも大切なのではないでしょうか。

今年も多くの受験生の合格を祈っています。

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