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アラートさん/Nanami Tohse
2019年5月8日 21:04
プツッ…そして瞬間訪れる暗闇。ああ、いつものやつだな…そう心の中で嘯きながら、私は少しだけ肩を動かした。再び灯るのはLEDライト。少しだけ白熱灯の色味を模したものだ。いつものことながら、まったく嫌になるね。ちょっと拾い読みした文章が面白くて熱中しちゃうと人感センサーが「人がいない」と判断してこうなっちゃうんだ。あのライトが消えると、私も忘れ去られたような気分になり、正直言うとあまり心持
2019年5月9日 22:08
その日は水飴のような曇りだった。新宿御苑駅の近くのカフェで大学の友人と、昼だか夕食だかよくわからない食事をとりながら、取り留めもない話をしていた。「そういえばね…、両沢さん、亡くなったんだって」彼女は私の真意を探るように、ぽつりとこぼした。両沢さん…正直もう、記憶が曖昧だ。故人当人には申し訳ないが、当人とは思い出らしい思い出もない。ただ、その名前の縁にこびりついた、思い出したくない「