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当たり前のことすらできない、地方の零細企業

歯止めがかからない人口減少と経済の衰退により、地方の零細企業は生き残りをかけた変化を求められています。

そして、コロナ禍を経て急速に加速したのがEC化です。

弊社もECに注力し、今では売上の半分以上を占めるまでに成長しました。

周りを見渡してみると、庄内地方でもここ2、3年でECを始めた事業者が増えました。

BASEやSTORESのように、初期投資がほぼ必要なく簡単にECを立ち上げられるサービスが盛り上がってきたこともあり、雨後の筍のようにポコポコECが増えていった印象です。

ですが、話を聞いていると、うまく売上を伸ばせている企業はほとんどいないようです。

集客の前に、やれることがたくさんある

ECがうまくいってない事業者は、「どうやったら集客できるのか」とか「どんな商品がネットで売れるのか」といった表面的な議論をしがちだな、というのが私の感想です。

この間、庄内地方の食品関連事業者が展開するECサイトを調査することがあったのですが、そのリテラシーの低さに驚愕してしまいました。

具体的には、下記のようなECの基本すらできていない事業者が散見されました。

1. 賞味期限 / 消費期限の記載がない

空いた口が塞がりませんでした。

食品を販売しているにも関わらず、賞味期限や消費期限の記載がないECサイトがいくつか存在していたのです。

賞味期限が分からない商品を、いったい誰が買うというのでしょうか。

2.商品の説明がない

お土産などの食品を見ていると、「〇〇セレクション 金賞」や「〇〇コンクール 特別賞」のような受賞による権威付けをしている商品が多々あります。

これは、あくまで商品の付加価値を増幅させる要素であり、商品の価値そのものではありません。

しかし、受賞がよっぽど誇らしいのか、商品ページにその賞がいかに素晴らしいものなのかを書き連ね、肝心の商品の紹介は一切書かれていないようなECサイトを見つけてしまいました。

彼らは何を売っているのでしょうか。

3.商品の写真がない

通販はただでさえ商品の実物がないのに、商品のパッケージしか掲載していないECサイトも多数ありました。

中身がまったくわからない食べ物をネットで購入する人がいるとは思えません。

行政が旗を振って、地方零細企業のリテラシーを高めるべき

いずれのECサイトにも共通しているのは、消費者目線を無視して自分本位でとりあえずサイトをオープンした、というようなところでしょうか。

少し考えれば、こんな状態でECサイトが成立するわけがないのは明白なのですが、そういった基本ができていないサイトがとても多く見受けられ、地方の零細企業のリテラシーの低さに唖然としました。

今回はECを例にあげましたが、何もECに限った話ではありません。
地方の零細企業は、ビジネス全般のリテラシーが欠如しています。

そして、このような会社には共通する点がありました。

創業から概ね50年以上が経過しているということです。

つまり、彼らはいずれも好景気を経験しており、地方という狭い市場の中だけでも十分事業が成り立っていたのです。

経済が低迷しかつて溜め込んだ資産=顧客を少しずつ食い潰しながらも、かろうじて生き残ることはできたわけです。

彼らには危機感はなく、変わる気もありません。

ですから、地方自治体がしっかりと現状認識をし、地方零細企業というゆでガエル達に外圧をかけて焚き付けないと、地方の企業はどんどんなくなってしまうのではないでしょうか。


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