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私の弟は知的障害者 その2 〜家族としての不安〜

こんにちは、内ノ宮 基です。

前回の記事の続きとなります。
前回は軽度知的障害者である弟の特徴や生い立ちをお伝えしました。
前回の記事:私の弟は知的障害者 その1 〜弟の特徴や生い立ち編〜

今回はシリーズ第二弾として、弟が知的障害者であることの不安を実際にあった事例を交えて紹介します。

・知的障害者を家族に持つ人の不安を知りたい人
・知的障害者の弟がなぜ犯罪リスクが高いのかを知りたい人

にオススメの記事です。

弟が知的障害者であることの不安

「もしも両親、兄弟、こども、その誰かが知的障害者だったら。」
こんなことを考える人は少ないと思います。
私も3,4年ほど前まで弟が知的障害者だなんて夢にも思っていませんでした。
そんな私でしたが、近年弟に対する違和感が顕在化してから、様々なリスクも顕在化しました。
その結果、様々な不安要素が増えました。
今回はその不安要素をお伝えします。

①犯罪リスク

これは弟が知的障害者だとわかってから顕在化した問題で、一番大きな不安でした。
犯罪と言っても悪意がある犯罪ではありません。
前回の記事でもお伝えした様な想像力の乏しさが原因で起こる犯罪です。
そして、知らない(知ろうともしない)ままに犯罪に走る可能性が高かったのです。

具体的に言うと飲酒運転リスクでした。
私がとあるツールで情報を収集しなければ、防げなかった可能性のある犯罪リスクでした。
弟はまず飲酒運転自体は知っていましたが、どうなったら飲酒運転になるかを知らなかったのです。
つまり、飲酒運転の定義を知らずに運転していました。
飲酒運転の定義を知らないのであれば、運転する日に飲まないのは鉄則です。
しかし、弟は運転するその日に飲酒をしました。
幸いなことに、飲酒推測時間と飲酒量、運転した時間から計算するとセーフでした。
ただ、この件は大変な危険を感じました。

この様な犯罪リスクは私だけではなく、知的障害者の家族に伴う問題です。
もちろん、知的障害者ではなくても犯罪に手を出す可能性はゼロではありません。
ただ、データで見ると知的機能の障害が認められる人の犯罪確率は普通の人よりも高いことがわかります。

詳しいデータは私の書籍でご確認いただきたいのですが、2022年の新規受刑者の割合で見た時、約41%以上は境界知能もしくは知的障害者に当てはまるIQの人たちです。
そもそも境界知能もしくは知的障害の範囲を考えた時、総人口で見ると15.9%の人がその範囲になります。
ですが、新規受刑者で見ると41%以上となります。
さらに知的障害者だけに絞ると、総人口で見ると2.3%に対して、新規受刑者で見ると約19.36%になります。
簡単に計算すると、総人口の100人に2人から3人が知的障害者の範囲になりますが、新規受刑者だけで見ると100人中少なくとも19人は知的障害者の範囲となってしまうのです。

この背景には、やはり想像力が乏しい事は少なからずある様に感じます。
私の弟も例外ではなく、想像力が乏しいです。
ただ行動力だけはあります。
今後話していきますが、私が対策を立てる間に新たな行動をしては困らせてくれました。
なぜ、行動だけはあるのか?
私の疑問でした。
なので、その部分で仮説を立てます。

普通の人であれば、何かやりたいこと(願望)がある時には、なりたい姿やなった後(ゴール)を考える(思考)というプロセスを経て行動すると思います。

願望→思考→行動

という感じですね。

対して、知的障害者である弟は想像力が乏しいため、思考というプロセスが抜けてしまう事が多々あります。
なので、

願望→行動

になるのでは?と仮説立てました。

普通の人であれば思考した段階で無理があれば止めます。
しかし、弟の様に想像力が乏しいと多少の無理があっても気にしないで行動するわけです。
ここでのポイントは想像力が乏しいだけで感情や願望はあるということです。

この仮説の証明としては、昨年の12月に起きた事故を例に出すとわかりやすいかと思います。

重度知的障害者の男性が、家族の車の鍵を持ち出して、無免許運転でコンビニに突っ込んだことにより高齢男性が亡くなった事件です。
おそらく車に乗ってみたいと思ったのでしょう。
ここに思考というプロセスがあれば、「免許がないし、先に免許を取ろう」や「運転したことないし怖いな」となるかと思います。
しかし、思考というプロセスがなければ、「鍵があるから車に乗れる!」になるでしょう。
つまり、車に乗ってみたいという”願望”と車に乗れるという”行動”が繋がったわけですね。

これも悪意は全くないのですが、結果的に思考が抜けてしまった、さらに言うと想像力の欠如で起きてしまった事故だと思います。
もう気の毒にしか言えない事件ではありますよね。
家族の方も悔やむに悔やみきれない結果となりました。

そして、少し前の私にとっても、この事故は他人事ではなかったのです。
飲酒運転だと更に酷いですから。
きっと飲酒運転リスクを避ける前の私がこのニュースを耳にしたら焦った事でしょう。

ということで、犯罪リスクは大きな不安の一つでした。

②金銭管理

これもまたどうしようも出来ない問題でした。
弟はとにかく金銭管理ができません。
手元にあればあるだけ使います。
それでも前よりはマシになりました。
お金が足りないということがどういうことかを理解できたためです。

どのぐらい酷いかというと、20代後半になっても収支という言葉を知らなかったぐらいです。
つまり、入ってくるお金がどれぐらいで出て行くお金がどれぐらいかを把握しないのです。
「資本主義に流されない億万長者なのかお前は」と言いたくなりますよね。
スピリチュアル的な話をすると、ある意味で金運の法則に触れちゃっています。
事実、使えばお金は無くなるという現実を知るまではお金に困ることはなかったのです。
必要な時に無限にお金が入ってくる(出せる)仕組みを構築していました。
その裏では、すべて母が援助していたからというカラクリがあるのですが。

一番酷い事例として紹介すると、家の通帳から1日の限度額を盗もうとしたこともありました。
母が末期ガンで入院してることを良いことに実際に引き出しました。
もうアウトですが、使う前に気づけたので大事には至りませんでした。
このあたりのエピソードも私の書籍に書いておりますので、気になる方はぜひご覧ください。

これも先に書いた仮説で説明がつきます。
お金が欲しいという願望を持っており、通帳が手元にあるのでお金が手に入る環境があるから行動したのです。
勿論、盗みなので悪い事です。
善悪を置いて考えたとしても、普通なら通帳見返した時に履歴からバレる事は必須です。
そのリスクを考えるプロセスがないため、浅はかな犯行はバレてしまったのです。
と言っても、私もそれまでの違和感のおかげで気がついたのですが。
普通だったら親の通帳なんて見ません、しかも死期が近い時に。

そのほかにも、

  • 家から病院まで1万円を出して2回ほどタクシーで通っていた。(電車で行けば往復でも1,000円弱の距離です。)

  • amazonでランニングマシーン(1度は使ったとは言ってましたが)など、大きな買い物が多かった。

  • ゲームで1ヶ月に10万円も課金し続けていた。

当時の弟の収入は7〜8万円です。
そんな中、こんなお金の使い方をしていました。
しかも足りない分は母が払っていたのです。

弟に関しては元々の知的障害に加えて、母が甘やかして育てたことが大きいです。
もちろん、弟が知的障害を持っていることを母が把握していたかどうかは不明です。
それにしても甘やかされて育ってきたため、とんでもない金銭感覚を身に着けてきました。
しかし、逆に厳しく育てられた場合、どうなっていたかは不明なので、正しいか正しくないかはわかりません。

ただ、甘やかされて育ってきたことは親が生きている内、介護などが必要でない状況であれば問題ないと思います。
一見問題が無い様に見えるためです。
しかし、親がいなくなった後、あるいは親が逆に支援を必要とする状況になった場合、状況は一気に急変します。

弟の例で見てみても、収入以上に支出が多ければいずれはお金が無くなるという事実を知らずに育ってきたわけです。
その状況には、不足分は母が補助していた裏があります。
しかし、その事実を認識しないまま、母が入院、さらには死去までしました。
それでも私がその事実を伝えても本人は理解しません。
実際に借金までして、実際の痛みがわかるまで理解しないのです。

ここでサラッと書きましたが、母の死後、弟は借金しました。
しかも50万円です。
だからと言って、兄である私が肩代わりすることはありません。
本人の少ない収入の中で数年かけて返済をしている最中です。
ここで甘やかしたら同じことを繰り返すだけだからです。
弟は肩代わりしてあげた感謝を一生持ち続ける様な人間でもありません。
ラッキーぐらいの認識で同じことを繰り返すことでしょう。
根本的な解決にはなりません。

優しくしてあげる事だけがサポートじゃありません。
時には厳しい対応もする事は必要です。
障害者とか関係なく、大人である以上自分の責任は自分で取るということは当たり前なのです。

ちなみに借金の原因はお金が足りなくなったことです。
僅かではある母からの相続金も使い切ってしまいました。
それでも足りなくなったから借金をしてしまったのです。
さらに本人は「借金は返せなければ返さなくても良い」とまで思っていたようです。
無知、無思考とは恐ろしいものです。
ただ、それすらも織り込んで行くことがサポートには不可欠であります。

弟は母の死後、地下アイドルにハマりました。
これが地味にお金にかかる趣味なのです。
ライブがあれば東京まで出ます。
交通費やライブ代、グッズ代などです。
さらにはチェキと呼ばれるアイドルと一緒に取れる写真は1枚2000円ほどかかります。
頑張っている人を応援することは素敵なことです。
しかし、自分が借金をしてまでお金を使う必要はないはずです。
それがわからないのもまた、想像力の欠如故かと思われます。

③その他の不安

その他の不安は、言い出せばキリがなくなります。
生活能力の低さ(掃除や洗濯などです)、嘘を吐き続けることなども不安要素に繋がる可能性があります。
生活能力が低ければ、例えば掃除をしなければゴミ屋敷となり、その結末で近所に迷惑をかけるレベルに発展する可能性はゼロではありません。
少なくとも掃除をする人に比べると、可能性は高い訳です。
嘘を吐き続けるということは、家族に対してだけではありません。
他人に嘘を吐くということは、人間関係の構築にも関わります。
嘘を吐き続ける人と仲良くなりたいと思いますか?
普通はお断りするはずです。

色々と不安はありました。
が、このすべての不安をいきなりゼロにすることはできません。
ただ、不安を減らす方法はあります。
その積み重ねの結果、不安から解放されることに繋がります。

書籍の紹介

本記事の内容など私の経験談まで書いた書籍が下記です。

私と同じ様に家族に軽度知的障害者を持ち不安という方に向けて、
手帳取得へ向けた案内
・検査の仕方
・面談時のポイント
離れていても情報を手にいれる方法
・おなじみのツールの意外な使い方
家族以外からサポートを受けるという手段
・グループホームの入り方
・家族が言ってもダメな時の方法
などの実用的な情報や
軽度知的障害者の可能性についてまで言及しています。

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