『ザ・スクエア』イラつく? 試されてる? ブラックユーモアが過ぎる傑作
映画鑑賞メモ
原題:THE SQUARE ★★★★★
※上の画像をクリックすると公式サイトに飛びます。
2018年を代表するような衝撃作だとは聞いておりましたが、いや確かに。
高度福祉国家として、雑貨やインテリアがおしゃれな国として憧れを抱いている方も多いかもしれないスウェーデンの、よもや欧州や先進諸国の、現代の病いを描きます。
じつにたっぷりのブラックユーモアを持って。
現代美術館のキュレーターを務める主人公クリスティアン。洗練されたスーツに身を包み、電気自動車テスラに乗る“意識の高い”彼に、エリザベス・モス(「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」)扮する記者がインタビューをするところから物語は幕を開けますが、これがまた、なかなか始まらないのです。
この時点で、ゾワゾワとしてきます。
その後、展示品とおぼしき厳かな彫像がド派手にぶっ壊れ、かなり面白そうな予感がしてきます。
「ザ・スクエア」とは、彼が次に取りかかるイベント展示の展示物であり、
その白いラインで囲まれた“四角”とは、「優しさと思いやりの領域」。
「この中では誰もが平等の権利と義務を持っています」という定義がありました。
ところが、どうでしょう。
主人公のクリスティアンは、まるでその逆へと、また、彼を取り囲む者たち、特に広告代理店の若い2人などは、その逆を狙った“炎上商法”を狙っていくのです。
職場に赤ちゃん連れOK,ペットOKなスウェーデン、さすが、ではありますが、
前作『フレンチアルプスで起きたこと』で、人間の心持ちの脆さや、矛盾する思考や言動を人をくったようなユーモアで描いてきただけに
今回もかましてくれましたリューベン・オストルンド監督。
昨年のカンヌのパルムドール!
クリスティアンを演じるのは、『ドラゴン・タトゥーの女』の続編『The Girl in the Spider’s Web』にも抜擢されたデンマーク出身の渋メン、クレス・バング。
エリザベス・モス演じる記者との、性行為の前後のアレやコレも最高に笑えます。
また、前作『フレンチアルプスで起きたこと』でも感じていたことではありますが、登場する子どもたちを気の毒に描きつつも、好感が持てるのが
ちゃんと、大人のダメなところをしっかりと子どもに見せていること。
ダメなんですよ、大人だって。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?