ライ麦畑で出会ったら

『ライ麦畑で出会ったら』受け入れられない喪失を抱いて。 公開中

原題:Coming Through the Rye(2015) ★★★★☆ 

青春小説の金字塔、J.D.サリンジャー著「ライ麦畑でつかまえて」に触発され、あの主人公のホールデンはまさに自分だと、ならば、この小説を演劇にして自分が演じようと考えたジェイミー(アレックス・ウルフ)という高校生が主人公。

彼は原作者のサリンジャーに脚色の許可を得るため、隠遁生活を送るサリンジャー探しの旅に出ます。演劇サークルを通じて出会った他校の女の子ディーディーと一緒に。

ジェイミーにとって学校(まるでホールデンと同じような寄宿学校で、しかもスポーツが盛ん)は自分の居場所ではなく、ひどいいじめも受けておりました。そして、『ウォールフラワー』や『シング・ストリート 未来へのうた』が引き合いに出されるように、計り知れない喪失と精神的混乱を抱えていたのです。。。

これはジェームズ・サドウィズ監督の実体験を基にしており、青春時代ならではのどこかムズムズするようなほろ苦さ、小っ恥ずかしさたるや、見事!


主演のアレックス・ウルフは、今年一怖い映画『ヘレディタリー/継承』にも出演していますし、ロック様の“中の人”だった『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』も今年でしたね。

大活躍です。お兄ちゃんのナット・ウルフ(Netflix『デスノート』)より、もしかしたら作品に恵まれているかもしれない!? 

また、隠遁生活を送っている、謎に包まれた偏屈っぽい作家サリンジャー役には、渋い名優クリス・クーパー


その若かりしころをニコラス・ホルトが演じま……って、それは違う映画、『ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー』です、2019年1月18日(金)公開。

2019年1月1日はJ.D.サリンジャー生誕100周年にあたるそうで、そのためか、『ライ麦畑で出会ったら』は2015年の作品ですが日本に上陸できました。アレックスの出演作としてはエイサ・バターフィールドと共演した『ハウス・オブ・トゥモロー』が昨年の東京国際映画祭で上映されたきり、これも劇場で観たいですね。

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