「色のない放課後」を聴くと海が部屋から溢れる
♫ANANT-GARDE EYES 「色のない放課後」
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海が。
いつの間にか溢(あふ)れていた。
少女の部屋から。
水位が、
ベッドより、
勉強机より、
本棚より、
窓より、
高くなっていく。
本とノート、
鉛筆とボールペン、
ぬいぐるみと枕が、
水の中で浮かんでいる。
ついに外へ溢れてゆく。
水位が上がってゆく。
街が水没してゆく。
知らない生物が泳いでいる。
何故だか怖くはない。
深い青色のクジラ。
少女の閉ざされた瞼。
そっと手を伸ばす。
温度