本屋4.0の話
先日、北加賀屋アートブックフェアでのトークショーで思ったこと、
登壇者はgrafの服部さん、スタンダードブックストアの中川さん、kotobanoie の加藤さんの3人でした。
−トークのテーマは「本屋4.0」−
なにやらどんな話なのか聞いていると、まず分かりやすく本屋の業態についての話をしながら4.0の意味を分解してくれました。
本だけを売るのが1.0
そこにカフェをつける2.0
さらに物販で3.0と
本屋+何か(お客さんが本の購入以外でも訪れてくれる理由になるもの)を加算していく考え方。
大阪でイケてる場所、なんか立ち寄りたくなる場所であったスタンダードブックストアが閉店したことから、本屋が本だけでは売っていけないことはもちろんのこと、スタンダードブックストアのようにカフェもあり、物販もしていて、さらにはトークショーなどすでに4.0の業態では?となっていても、経営が難しいことに、話はフォーカスされていきました。
もともと中川さんは百貨店の中で大きな本屋さんを経営されていて、月に1億売り上げていたとか。バブルの時代は本はセレクトして納品しなくても、発行して仕入れれば売れる時代だった。ただ百貨店側との立地の話などで、店を閉めるとなった時に悲しんでくれる人がいなかったことに、今思えばお店としておかしなことだったのではと、スタンダードブックストアを閉店する時との違いを述べていました。
話は中国が政策で新しいコミュニティの場として本屋を作っていたり、本屋に求める機能や価値、大きな本屋での偶然の出会いの無さなど、話は進みました。
そのトークショーのなかで中川さんが
「『ぬかどこ』のような場所を作りたい」とおっしゃったのがすごく印象的でしっくり来たことを覚えています。
店主が揃えたぬか漬けのきゅうり、人参などを買いにくるお客さんが来てもいい。でもたまにこんな野菜も漬けてみたい、この時期しかできないこれも入れたい、とか、揃えられた物だけを買うのではなくて、お客さん自体がそのお店と関わることのできる新しい本屋のあり方。
誰かがなにかこの場所(ぬかどこ)で何か(野菜)をやりたい(発酵)、と持ってこれる場所。それは子どもたちが学校の帰りに宿題ができるような場所なのか、主婦がお料理教室の場なのか、他国のご飯が食べれる場所なのか、それはまだなにもわからないけど、大きな可能性をその「ぬかどこ」という考え方に感じました。
もちろんそのぬかどこには誰か管理人がいて、たまに空気を与えるためにかき混ぜたり、ぬかに栄養を上げるために、継ぎ足したりしながら、その場を作っていく。その管理人は店長じゃなくて、その本屋をいつも利用してる誰か、でもいいかもしれない。
場が育ち、そしてみんなで育てる、「本屋4.0」がこの時代における新しい価値なのではないかと考えさせられました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?