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月過人已靜

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世を憂う系のコラム
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#コラム

When The World is Running Down

米国人であったり、米国で暮らしていたり、米国の動きが仕事に直接跳ね返ってくる職場で働いていたりする友達が多いので、この度の大統領選をめぐって、わたしのSNSのタイムラインは悲鳴で溢れている。 悲鳴しか聞こえてこない。 つまり、わたしは、こっちとあっちで分断された世界のこっち側の人としかつながっていないらしい。だからあっちの人たちのことって、存在は知っていても実際よく知らない。知らんぷりしてたわけじゃないけど、わざわざ理解したいと思うこともなく生きてこられたわけよ。 しか

成人したら死ぬ気がしていた

高校の時、仲の良い男友達のくちぐせが「おれ、20歳になったら死にたい」というものだった。彼は表向きは明るいクラスの人気者だったけれど、内実は繊細な芸術家肌だった。 わたしはそこまでではなかったけれど、大人になったら、今だけに許されている痺れるような感受性が死んでしまうような予感は、なんとなく理解できた。 気がつけばその倍の40歳になってしまった。 その友達も、無事、生きている。 しかも、人一倍楽しそうな仕事をしている。 あの頃のわたしたち、40歳がこんなに楽しいなんて知

社会人前夜:(前編) 1999年の就職活動

わたしが東京大学経済学部を卒業して社会に出たのは、2000年の春です。就職活動は1999年。俗に就職氷河期のどん底と言われる時でした。 1998年に長銀が破綻してメガバンクの統廃合が進み、日本全体に先行き不透明感が漂いはじめた時期でした。従来、官僚・金融・商社その他が1/3づつという構成だった経済学部生の進路先も潮目で、それまで異端だった外資金融やコンサルに行く学生が増えていました。 若い世代にとっては、なにそれ?って感じだと思いますが、当時、誰もがネタとして知っていたの