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夢をあきらめる時~辻占恋慕~

「恋する惑星」を見るつもりで、上映時間をチェックしたら、同じ時刻に「辻占恋慕」という四字熟語みたいなタイトルの映画が上映しててなんだか気になったから予告映像を見てみた。

予告を見たらぶっきらぼうで愛想のない女の子がまるで昭和にタイムスリップしたみたいな時代遅れな感じの歌をギター弾きながら歌ってった。月見ゆべし。彼女に会いたくなった。上映終了は10月13日。今会いにいかないともう二度と会えない…恋する惑星は何度も見ているし、月見ゆべしに会いに行くことにした。

「時代の変わり目」

物語の背景は…平成から令和にかわる時代の変わり目…とあったけど、どう見ても昭和から平成に変わる時代の変わり目にしか見えない。でも、よく考えてみると、あの頃と、今は30年たったけど、どこかが似てる。
あの頃は湾岸戦争が起きた。今はロシアとウクライナとの間に戦争が起きている。
主人公の月見ゆべしとマネージャーの信ちゃんは1988年生まれ、30年前の元号がかわったころに生まれた子たち。映画の中で、ゆべしの母親は売れないミュージシャンだった。1988年といえば…空前のバンドブームだったころ。たくさんのアマチュアバンドが存在して、ライブハウスがいっぱいになった。けれどそんなブームなんてあっという間に去って行った。
変わりゆく時代の風に吹かれながら、数えきれないほどたくさんのミュージシャン達が夢をあきらめていった。彼らはどのように人生に向き合い夢をあきらめたのだろう…

「辻」

「辻占」というのは、辻、交差点に立って占いをすること、道端で行われる占いのことを言うらしい。
映画の中で「辻」は「30歳」という辻。
人生の分岐点としても描かれていた。
「辻占」…どっちに行けばいいか占っている…

思い起こせば、私だって30歳前後というのは人生の岐路に立たされていた気がする。このままでいいんだろうか…みたいな…

「夢の諦め方」

この映画は…夢をあきらめる時の映画だと思った。映画に登場する人たち、それぞれの夢と夢の諦め方。
1970年代とか1980年代っぽい雰囲気が漂う映画だけど、2020年代となった今でも、夢追い人はいる。昔と変わらずそういう人たちがいるからこういう映画がつくられる。
ミュージシャンや俳優とかクリエーターじゃない、私だって、私なりに夢をあきらめたことがあるから、この映画の痛みがよくわかる。

そういう名もなきクリエーターたちの鎮魂歌みたいな映画だと思った。

「クラウドファンディング」
この映画は
クラウドファンディングでつくられていて、こういう映画は映画のレビューや「よかった!また見たい!」という声がたくさん寄せられると再上映が決まるようだ。東京では5月に上映された後全国各地を回り、また東京に戻ってきた。再上映できたということはそれだけ反響があるということ。

だから…こうして記事にしてみた。
とてつもなく痛いけど、映画を見た後救われたような気持にもなるから。





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