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悪は存在しない



「悪は存在しない」というタイトルと、地味なポスターから、ヨーロッパの映画かな?って思った。どんな映画なのかまったくわからないけど、なんとなく、直観で、これは!と思ったので、見ることにした。




ドライブ・マイ・カーの濱口監督の映画
舞台は信州、グランピング施設をつくる計画、環境問題、そこに住む住民と、施設をつくる側との間の…

映画を見る前にざっと調べた情報もそれくらい…

ポスターから、父と娘の心温まる…を想像したけど、そういう感じでもない

森の中、静かで透明で厳しい…神聖な…近寄りがたい空気感がびりびり伝わってくる映像から始まる…

私たちは、言葉なく、跪くしかない

自然にはそういう力がある

結局誰も踏み入ることはできないし、触れることもできない



最後の最後…ラストは
??????????????
が頭の中いっぱいになる

何が起きたの?なぜ?


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「悪はどこから来るか」
という昔読んだシュタイナーの書いた寓話を思い出した。

悪の起源について考えていた男が
木と斧が話しているところに出くわす

斧は木にむかって
「君にできないことを僕はできる
僕は君を切り倒すことができる。
君は僕を切り倒すことはできないだろう…」
と自慢げに話しかけると
木は
「一年前に、ある男が、別の斧で、私の身体の一部を切り取った
君の柄はそれで出来ているんだ」
と斧に向かって言った…


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誰が悪なのか、誰が善なのか裁く映画じゃないんだ…

巧のむすめ、花ちゃんだって
あまり行かない方がいい…と言われていた場所に行ってしまったのだから

みんな悪じゃん
って思えるし
悪なんてひとつもない
とも思える

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「悪はどこから来るか」
には続きがある…

男がこの話を聞いたとき
明らかな言葉にすることはできないながら
どのようにして悪は善から生じうるかという問いに対する答えを
もたらすことのできる考えが
魂のなかにあらわれたのでした。

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・これは君の話になる
・見るもの誰もが無関心でいられない、心を揺さぶられる映画

ってポスターに書かれているけど

そういうことだと思う。

私たちは問いを持ち続けなくてはいけないのだと思う。



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