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「円空の世界」

「故馬銭奴氏との相聞句」で「円空異聞」の記事を掲載したので、私が円空の事を書いた文章も掲載します。


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「円空の世界」

*円空(えんくう、寛永9年(1632年) - 元禄8年7月15日(1695年8月24日))

私は円空の木彫刻作品は10代の頃から写真では知っていた。
実物を見たのは40数年前、千葉県にあった「船橋美術館」で開催された「円空展」である。

会場に入った瞬間に作品群から天界の音楽が空間に鳴り響き、振動していた。
彼の作品は無重力空間に浮かんでいる。
私はその妙音の空間の中で不思議な至福の感動に包まれていた。

時代的にはレンブラントと同時代である。
彫刻家としては円空は別格の存在である。
ミケランジェロの最晩年の彫刻は普遍性まで高まっている。
しかし、円空はミケランジェロを遥かに超えた延長線上に存在している。
円空が世に評価され始められたのは芸術表現に抽象表現が認知され始めた以降である。

円空は生涯に約12万体の仏像を彫ったと言われている。
しかし、その大半は薪代わりに燃やされたり、捨てられたり等々、で今日残存するのは5千体位だそうである。

以前テレビで円空の彫刻があるという寺が紹介された。
その寺の住職は本殿に金ぴかの仏像を置き、円空の彫刻は納屋のような所から取り出してきた。

........取材した人物の前で、金ぴかの仏像よりも円空の方が良いというのが解らぬ、と如何にも怪訝そうな顔つきで対応していた。

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