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おばあちゃんとワンピース


私は中学2年まで、親に渡される服を文句を言わずに着ていた。我慢していたわけではなく、そういうものだと思っていたから。一人っ子って、この『そういうものだと思っていた』現象が多いのではないかな。まぁ、友達が少なかったから外の世界を知らなさすぎたのもあるか。

そんな私に1枚だけ6歳頃自分で選んだ服があった。父方のおばあちゃんが買ってくれたワンピースだ。おばあちゃんはお店で「6歳の女の子が好きそうなのはどれかしら?」と店員さんにたずね、いくつか提案してもらったそうだ。でも決めかねて、後日私をそのお店に連れて行き「どれでも好きなの選んでいいよ。」と言った。私は迷わず白い襟が付いたピンクの花柄のワンピースを選んだ。おばあちゃんは「いいよ。」と言った後、「この前来た時、『こんなの選ぶ人いるのかしら』と思ったのをうみちゃんが選んだわ。」と笑いながらレジへ持って行った。

これは一般的には『おばあちゃんが余計なことを言った、失礼なエピソード』なのかな。私にはおばあちゃんの愛情が嬉しくて嬉しくてたまらない、30年以上経っても昨日のことのように思い出せる出来事だ。過干渉だった私の母は、自分の好みを100%私に押し付けてきたため、『自分は気に入らないけど、うみが希望するなら』で私に何かを選ばせてくれたことは無い。だからおばあちゃんの対応は目から鱗だった。

後日、買ってもらったワンピースを着ておばあちゃんに会いに行ったら「売り場で見た時は変だと思ったけど、うみちゃんが着ると案外いいわ。いいの選んだわね。センスがあるわ。」と誉めてくれた。毒舌気味だけど大好きなおばあちゃんどの思い出。


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