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本を読め #3 生きていてよかった

「移動時間」というのは使い方によって意味のあるものにも意味のないものにもなりうる。

社会人になりたての頃、勤務先まで2時間以上かけて出勤していた。朝が早く、移動時間は睡眠時間になっていた。意味のある睡眠かと問われると、そうでもなかった。

今日の2時間は、その頃の2時間とは違っていた。早朝でもないし、職場へ向かう憂鬱な時間でもない。前職で大変世話になった友人に会いに行くのだ。

おかげさん

その言葉を目にした時に、ふと彼女を思い出した。

おかげさん、とは、相田みつをの詩のひとつである。

いいことは おかげさま わるいことは 身から出たさび

まける人のおかげで 勝てるんだよなあ

すべて、「生きていてよかった」の中にある詩だ。

世話になった人のおかげで、あの時偶然出会った人のおかげで、喧嘩した人のおかげで、愛してくれた人のおかげで、私は生きている。大げさかもしれないが、この世はみんな「おかげさん」で成り立っているのだ。

それを改めて気づかされた。彼女に会う前に、今日の移動中に、この詩に出会えたおかげで、心からの感謝を素直に伝えることができた。

遠い地に住むようになってから人に会いに行くのも一苦労するようになってしまったが、だからこそ、素直な気持ちで感謝を伝えたいし、この境遇も楽しんでいきたい。


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