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「2023年超個人的文学賞」の、はなし。#17

少し気が早いですが、この1年を振り返ってみたときに、
今年は特に、あっという間に過ぎてしまったように感じました。
その感覚は年々強くなっているような気がして、
これは年齢がそう作用させるものなのか、
立ち止まることなく、充実した時間を過ごせていたからこそなのか…

後者であって欲しいと思いつつ、もう帰ってこない時間をどう評価するかは、自分の捉え方一つでしかないような気もするので、
少しでもポジティブに、「今年は特に、濃い1年だった」と言い切りたいと思います。笑

さて、毎年同じような誓いを立てるのですが、
今年は「たくさん本を読む」を2023年の目標に掲げていました。
部屋に新設したお気に入りの本棚の効果もあってか、
結果、例年以上に多くの作品と出会うことができました。

そんな中で、勝手ながら「超個人的文学賞2023」を選定したいと思います!
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■川上未映子さん「黄色い家」
■小川糸さん「ライオンのおやつ」
■南杏子さん「サイレントブレス」
■桜木紫乃さん「家族じまい」
※読了順
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非常に悩みましたが、、
トップはこの4作品にさせていただきました◎

本を選ぶ際、特別意識していたわけではないのですが、
今年は、介護だったり、家族が迎える最期の時間について考えることが多くなりました。

一昨年に祖母が亡くなり、先立った祖父と住んでいた家も解体。
タイムリーに、かつて私の母も属していたひとつの家族が、
静かに終わっていく瞬間を、見届けたばかりでした。

とても大きなことのようでありながら、目の前の事務作業は淡々と進んでいって、
悲しいことのようでありながら、残された山積みの荷物を片付けながら、
その家に宿った数えきれない思い出に浸ることができて、不思議とあたたかい時間を過ごせたのでした。

「黄色い家」は別として(これは文脈関係なく入れたくなるほどに傑作)、
どの作品にも、同じような静かな終わりのひとときを感じることができました。
「ライオンのおやつ」で描かれている、瀬戸内のホスピスでの最期の暮らしは、誰もが憧れるものではないでしょうか。
ホスピスに憧れ、というのは少し違和感のある話かもしれませんが、
自分や家族の最期を考えることは、すなわち生き方を見つめ直すことだとも思いました。

読書体験として、特に心に残る時間になったもの。
「超個人的文学賞2023」はそんな総評で締めたいと思います。

来年も、素敵な本に出会えますように。

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