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【発達障害(神経発達症)に関する本#2】『カモフラージュ――自閉症女性の知られざる生活』

読書が得意ではない私がおすすめする、発達障害(神経発達症)に関する本シリーズ。
▶︎前回はこちら

今回はこちらです。

まず、表紙のデザインに惹かれました。

発達障害の関連本って「発達障害」「グレーゾーン」の文字バーン!タイトルで内容ドーン!みたいな本ばかりじゃないですか?(語彙力)

このジャンルで表紙がおしゃれってなかなかないですよね。
もちろん、デザイン面だけでなく内容も充実しています。


見過ごされてきた自閉症スペクトラムの女性たち

自閉症スペクトラムは女性より男性のほうが多いとされていますが、一方で女性が見過ごされてきたとも考えられます。
本書では、自閉症スペクトラムである女性にスポットを当て、今まであまり知られてこなかった彼女たちの日常をグラフィックで美しく描いています。

自閉症スペクトラムである3人の女性の話を通して「カモフラージュ」について考えます。

カモフラージュとは

タイトルにある「カモフラージュ」とはどういう意味でしょうか?
訳者解説では以下のように記載されています。

自分の特性を自覚しつつ周囲との関わりの難しさを感じると、自閉症スペクトラム障害児者は、自分の特性を隠そうとしたり、無理に周囲に合わせようとしたりすることがあります。これがカモフラージュです。

エリーは「学校はどうでしたか?」という質問にこう答えています。

小学校では本当にもの静かだったわ。完璧な子どもで、言われたことを全部こなして、なにもかも我慢していたの。だけど家に帰ると爆発していたわ――まさしくすべての気持ちを抑えて一日中過ごしていたの。

学校で「カモフラージュ」=定型発達者のふりをして過ごしていた結果、家ではその反動が起きてしまっていたようです。
また、ミミは「カモフラージュ」したことをこのように振り返りました。

今、普通のふりをしていたことをちょっぴり後悔しているの。なぜかっていうと、普通に振る舞おうと一生懸命頑張った結果、わたしの存在に誰も気づいてくれなかったから。

「カモフラージュ」が上手であるが故に、誰にも気づいてもらえないというジレンマが語られています。

負担を減らすために

カモフラージュによる精神的・肉体的負担を減らすにはどうすればいいのでしょうか。
彼女たちがしたことを以下に挙げてみます。

✅グループを作ってテーマを語り合う
✅自閉症スペクトラム関係のブログを読む
✅オンラインの掲示板で仲間を見つける
✅親しい友人と会う

自閉症スペクトラムを受け入れ、アイデンティティを確立するのに友人関係が大切であるとされています。
また、3人とも自分の興味がある分野に力を注ぐことも共通していました。

自分の周りには自閉症スペクトラムである人はいないから、関係ない話だと思う人もいるかもしれません。
しかし、本当にそうでしょうか?
もしかしたら、カモフラージュして陰で苦しんでいる人がいるかもしれません。
自閉症スペクトラムについて知識がない人にこそ、ぜひ手に取ってもらいたい本です。

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