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2023大学ラグビー番外編:U20ジョージア代表対U20ニュージーランド代表の試合を勝手に数値化して見てみた

みなさんこんにちは
気楽にU20の試合分析を進めて、日本代表のサモア戦の残念な結果に肩を落としている今本です

今日はU20世界大会の7位決定戦のU20ジョージア代表対U20ニュージーランド代表の試合のレビューです

それではメンバー表から

次にスタッツです

差がなくもないので、順番に見ていきましょう


ジョージアのアタック・ディフェンス

ジョージアのアタックシステム

セットピースの総合的な安定感がすごかったですね
ラインアウトもスクラムも安定しており、明らかにそこから組み立てようとしている様子が見受けられました
相手のペナルティを誘発することもできていましたね

システムを単体で見ると1−3−2−2寄りな雰囲気を感じました
10シェイプに3人立っていることもあったように思うのであくまでも「思う」くらいの感じですが
強いFWの選手を起点とした9シェイプで基本的に当ててチャンスメイクをしていくイメージですね

エリア戦術に関してはどちらかというと競り合いに持ち込もうとしている感じでしょうか
キックの回数を見るとPuntやBoxでのキックが多く、結果的には良いアウトカムにはつながってはいませんでしたが競り合うことでプレッシャーをかけようとしている印象でした

ジョージアのキャリー

キャリーのクオリティはかなり高いということができると思います
ハンドリングエラーが少なく、基本的にはキャリーから次のプレーへとつなげることができていたような印象です
ただ、被ターンオーバーが複数回見られたのがネックでしょうか

回数を見ていきましょう
総キャリー数は115回と、敗れたチームにしては少し多めということもできるかもしれません
言い方を変えれば、アタックしていた割にスコアにつなげることができていなかったということですね

先述したように9シェイプが多いのが特徴で、前後半合わせると36回が9シェイプまたはそれに類するキャリーとなっています
全体の約1/3なので多めということができるかと
前半でこそ7回10シェイプでのキャリーが起きていましたが、後半は2回と激減しているので、あまり10シェイプにはこだわっていなさそうです

目立ったキャリアーと言えるほど突出して強いランナーというのは見受けられませんでしたが、総合して強い選手が揃っていましたね
ただ、あえていうなら特にバックスの選手に個性が欲しいかもしれません

ジョージアのパス

回数を見るとキャリー・パス比は2:3弱となるのでバランスは一般的なものであるということができるかもしれません
パスの質に関しても一般的といった印象ですね
極端に相手の勢いを殺すことなくパスを放ることができていたように思います
レシーバーのランニングスピード自体がそこまで早くなかったのも要因かもしれないですけどね

当然ですが9シェイプへのパスが最も多く、前後半合わせて45回という数値を示していました
次いで多かったのはバックスラインへのボール供給だったのですが、ポッドからバックドアへのパス供給に関して見ても前後半合わせると18回と少なくない数値を示しています
表裏をかなり意識している証左かと思いますね

トリプルラインに至るほどにはライン構築はされていなかったような印象ですが、ダブルラインより少し複雑な組み方をしていたように感じます
セットピースにこだわっているチームの割にジェネラルプレーではかなりシステマチックなラグビーをしているように見えました

ジョージアのディフェンス

ディフェンスそのものはそこまで悪くもなく、タックル成功率も85%前後と悪くない数値を示しています
ダブルタックルもかなりこだわって入っている印象を受けましたし、芯にうまく入れば相手を完全に押し返せる印象を得ることのできる試合だったのではないかと思います

システムや雰囲気を見ていくとガツガツと前に出るイメージはそこまでありませんでしたね
突出していたとしても「システムとして〇〇選手にプレッシャーをかける」というよりも個人の判断や視野が狭まった結果つっかけている印象を感じました

ニュージーランドのアタック・ディフェンス

ニュージーランドのアタックシステム

エリアによって少しバリエーションが異なるというか、少し幅を持たせたようなシステムを組んでいるのではないかと妄想しました
ゴール前では5人の選手が並んでいるように見えるくらいポッド間の幅が近かったり、中盤で4人ポッドに見えるようなポジショニングをしていたりと、基本的なスタイルはそこまで定まっていないように思います

基本的には1−3−2−2気味かなとは思うのですが、先に述べたように特に9シェイプに幅があったので断言は難しいですね
イメージとしてはポッドの位置決定が先にあり、10番のKemara選手や15番のGodfrey選手の意思決定でSOに入る選手の立ち位置が自由に定まるといった感じだったように思います
そのため、10シェイプとCTBシェイプ(CTBを起点とするポッド)のあたりに選手がいる時もありました

キックに関してはそこまで競り合いを求めていなかったのではないかと勝手に考えています
合計のキック数自体もそこまで多くはなかったですし、競り合いに至るようなキックはほぼ見られませんでした
競り合えば強いとは思うのですが、方針なんですかね

総合的に見ると、ニュージーランドのラグビーは「自由なラグビー」といったイメージになるかと思います
個人の能力とひらめきがマッチしていて、閃いた展開を実現するスキルが備わっているのはそれだけで強いですね

ニュージーランドのキャリー

キャリー回数自体は勝利チームの割に少なめで、前後半合わせて79回という回数となっていました
種類ごとに見ると結構バランスが良く、突出した種類のものはなかったように感じています

個人的にはエッジの方が中央エリアよりも崩している回数は多いかと感じていたのですが、数値だけで見ると意外とエッジでのキャリーは少なかったですね
種類ごとに大別するとポッドを除く中央エリアでのキャリーが最も多いという結果となりました

キャリーの質に関して見てみると、中央エリアでの1対1局面だけに限って言えばジョージアのディフェンスと互角に近かったと思いますが、ダブルタックルをされることも多く劇的な差はそこまでなかったと思います
あえていうのであればステップの切り方が上手い選手が多いので結果として相手のミスタックルを誘発していた感じです

今回ニュージーランドサイドの優れたキャリアーとして、8番のLakai選手、14番のTangitau選手を挙げたいと思います
Lakai選手は詳しく見ることはできていないのですがニュージーランド国内でかなりの活躍をしていたようですね

Lakai選手は実際優れたキャリアーであり、エッジでボールをもらうこともあれば9シェイプに入ることもあったりと、ボールをもらう位置がバランスよく分布しているのが特徴的です
体の強さはもとより、ランナーとして極めて優秀であるというように感じました

Tangitau選手に関してはパワーやステップに偏ったプレースタイルではなく、スワーブやスピードにおいて周りから頭一つ抜き出た存在ではないかと想像します
WTBとしての必須条件とも言われる「トライを取り切る力」についても優れており、それに至るまでのポジショニングやコース、キックを使うセンスなどバランスよく能力が高いように感じました

ニュージーランドのパス

ニュージーランドはパスもバリエーションがありますね
回数だけをみるとキャリー・パス比は約2:3と一般的な数値とほぼ変わらないですが、内側への返しパス以外に関してはかなりバランスよくパスを放っていたように思います

目立つところで言うとオフロードパスやOtherの回数と質でしょうか
オフロードの回数そのものに関しては普通か少し多いくらいで、質はトライに直結したりと、質の高さを示していました
フィジーの選手ほどオフロード前提のキャリーをしているというわけでもなく、キャリーしてからオフロードに至るまでの意思決定の流れがとてもスムーズに流れているように見えます
また、Otherが多いのもパスに自由度があることを証明しているかもしれません

ニュージーランドのディフェンス

極端にいいわけではなくDefenders Beatenされる場面もありましたが、全体の質を見ると全く問題ないと思われます
ミスタックルが失トライにつながってはいませんでしたしね
欲を言えばもう少し改善したいところですが、上々の出来でしょう

システムとしては尖ったものはないように思います
普通と言ってしまえばそこまでですが、その遂行度というか完遂度が高く、失点につながっていなかったのではないでしょうか
そこまで前につっかけるわけでもなく、かといって引き気味でもないので、シンプルですが強力な布陣でしたね

タックルの質を見ると少し姿勢が高めの時もあるので、ルーリングによっては不利益を被ることになるかもしれないと思ったのも一つの感想です

まとめ

ニュージーランドが強さを示したように見えますが、一方でセットピースを支配したジョージアの強さも同時に示された試合だったように思います
やっぱり面白いですね

今回は以上になります
それではまた!

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