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『Mr. & Mrs. スミス』が描く結婚の現在。ドナルド・グローヴァーによる「This is Marriage」


 ジェーンとジョンはなんとかふたりで結婚というシステムを再定義、新しくデザインしようと試みるが、ここに組織が介入してくる。ふたりにとって「ハイハイ」はトライアングルを形成する社会そのものだ。「ハイハイ」は組織の利益、ひいてはアメリカ政府の繁栄のために結婚を利用して、工作員たちにミッションを与える。もともとの名前を奪い、全員をジェーンとジョンにするのも、必要なのはあくまでシステムであり、個人ではないことの顕れだ。隣人に、自分たちの仕事をソフトウェアエンジニアと偽っていたのが皮肉だが、まるでAIのように指示を出してくる「ハイハイ」にとって、結婚は問題解決のアルゴリズムであり、ジェーンとジョンは駒でしかなく、その光景はどこか「預言」的だ。効率化した社会にふたりのロマンスは敗北し、冒頭のジェーンとジョンの死が繰り返される。窓に映る3度のマズルフラッシュ、おそらくこの家に生存者はいない。生き残るのは形骸化した家とシステムだけで、最後に笑うのは不動産会社なのだ。

つづきは以下、リンクより。


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