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パーソンズ美術大学留学記シーズン4 Week11 #294

気温が20度を超える日もあり、厚手のコートの出番が終わりを迎えそうです。今週はThesisとSeminarの二つの授業ともに自分の卒業制作の進捗を10分程度で説明したので、心身ともに疲れた一週間でした。今週の『留学記』の更新はスキップしようかとも思ったのですが、今の思いだけでも書き残しておくことにします。


Transdisciplinary Designerの孤独

「Transdisciplinary Designとは孤独な営みだな」と感じます。なぜなら、自分のしていることがすぐには理解されない宿命にあるからです。私の場合、「禅の教えをデザインに取り入れる」というテーマで卒業制作を進めているのですが、このアイデアを聞いたほとんどの人は「なんで?」という反応になります。

自分の中では「禅の考え方がデザインに役立つ」というのは直観的に当然だと思っているのですが、私以外の人にとっては当然ではありません。いつもこの前提を忘れてしまい、分かりづらい説明になってしまう傾向にあるようです。私にとっては自力で飛び越えられる川幅であっても、他の人にとっては飛び越えられない。だから、私がその両方を繋ぐ橋をかけなければならないのです。

異分野の翻訳者として

Transdisciplinary Designとは、ある分野の考え方を別の分野に取り入れて新たな視点や解決策をもたらすこと。この役割を担う人はそれぞれの分野を理解しながら、お互いの言葉に翻訳しなければなりません。

禅を知らない人にとっては「禅って東洋の宗教で怪しい」と思えるだろうし、デザインを知らない人は「デザインって見た目を美しくするやつ」というイメージでしょう。そういう人に「実は禅って宗教とは少し違って……」とか「デザインは見た目だけを扱うのではなくて……」などと丁寧な説明が求められるのです。

そんな異分野の翻訳を学問的に行っているのが人類学なのかもしれません。人類学では自文化との共通点や相違点をもとに、異文化のことを理解&解説していきます。副専攻として人類学をかじった程度なので誤った理解の恐れもありますが、「Transdisciplinary Designと人類学は相性が良い」という直観だけがここでも働き、「なんで?」と聞かれても説明できないもどかしさに陥るのでした。


まとめ

今週は卒業制作でも就職活動でも進捗があるのですが、まだ文章としてまとまらない(公表できない)ことが多い状況です。これからの最終発表・卒業までは目の前のやるべきことに集中し、全てが一段落したらまとめてご紹介できればと思います。それまで気長にお待ちいただければ幸いです。

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