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2019年6月の記事一覧

【小説】裏庭の蜘蛛

ユヅキとボクがそのときハマっていたことといったら、アパートの裏庭に作られている蜘蛛の巣を枝先で壊すことだった。

慌てたように上によじ登っていく蜘蛛を見ながら、ユヅキは頬を紅潮させた。その横顔を見ながら、ボクの胸は高鳴った。

悪いことをしている自覚があるのかないのかと聞かれたら、よくわからなかった。いや、あったのかもしれない。共犯者としての連帯感が、ボクたちを裏庭に呼び寄せていたのかもしれないか

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