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【小説】映写機の月

【小説】映写機の月

 カタカタカタと音を立てる映写機。暗闇のなか、背後から真正面を静かに照らすほの白い光は、まるで月の明かりのようだった。

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「月ってさ、あんなに大きくないよねえ、ってずっと思ってたんだよね」

 唐突に、本当に何の脈絡もなくさやかが言った。その言葉に関連があるとすれば、今が夜なことくらいだ。ただ、今夜は月が見えない。だからなのか、自転車を押しながら歩く駅からの道は、いつもより数段暗く思えた

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