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7歳、カメラの楽しさを知る

失敗を恐れる子どもだった。

誰だって、失敗は怖い。一ミリも怖くない人は珍しいだろう。

ただ、わたしは過度に恐れていたように思う。理由はわからない。成功すれば褒められ、失敗すると叱られていたからなのかもしれないけれど、あまりにも極端な接し方をされた記憶はない。できたときに大いに褒められる体験はしてきたように思うけれど。

長男も失敗をひどく恐れるタイプだ。慎重を通りすぎて、やる前から「ぜったい無理」と尻込んでしまう。

彼にとっては、小さな「できなかった」が一大事で、「やっぱりダメだったじゃん」と自己肯定感をがくんと下げてしまう原因になる。

できてもできなくてもいいから、何かをやって「楽しい」と思える経験を積んでほしい。「好きだなあ」と感じられるものがひとつでも増えるといい。だからこそ、さまざまな体験機会を与えたいと思っている。

彼は今日、真剣なまなざしで小さなファインダーから世界を見つめていた。わたしに連れられて、フォトウォークに参加したのだ。

7歳の小さな手のひらにフィットする「写ルンです」が、彼の見たものを切り取る。

全部で27回。適当にシャッターを押すのではなく、明確に「何か」を撮ろうと考え実行できた体験は、きっと彼に非常によい影響を与えたのではないかと思う。

カメラを突き詰めている人は別として、カメラには明確な「失敗」がないのだな、と思った。

少なくとも、長男に「やっぱりダメだったじゃん」と思わせるような失敗はない。帰り道にカメラのキタムラに立ち寄り、さっそく現像。できあがってきた写真を見ている長男は、月並みだけれどとてもよい表情をしていた。

「これはね、これを撮りたかったんだよ」
「ほら、これはママ」
「うわー、これ変になってる(笑)」

27枚もあれば、本人なりにいいものも悪いものもある。いいものがちゃんとあるから、悪いものが自分を全否定しない。彼の様子を見ていて、そんな風に思った。

「楽しかった。また行きたい」と笑顔を見せる長男。成功体験を無理に積み上げなくても、「楽しかった」と思える体験を積み重ねていければいい。きっといつか、その「楽しいこと」が自分を支えてくれるときがくる。楽しんだ記憶は、彼のお守りになってくれると思う。


※アイキャッチは長男が撮影したわたし

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