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障害者が税金使って楽しく社会参加なんてあり得ないだろ という考え方について

こんにちは。Ubdobeの岡です。前もって言っておきます。今回のnote長いです。読むのに5分くらいかかりますので、あしからず!!!!


『障害者が税金使って楽しく社会参加なんてあり得ないだろ』 そういう意見を耳にした。

障害のある自分の子供のことや僕らが展開する重度訪問介護や移動支援事業所WASSUPの子たちのことに想いを馳せる。

個人的には福祉というのは制度と概念の両面があると思っている。

日本の福祉制度は1800年代の恤救規則くらいから政府を中心に整備されてきたけど、そのぶん民間人が声を上げなくなった流れもあると思っていて、自分自身も含め、ある意味、今は制度があって当たり前という感覚にもなっているのかな。医療も介護も障害者支援も。とはいえ青い芝の会とか、その他障害者の権利のための活動が行われてきたからこその、現在の障害者総合支援法があるというのは胸熱ポイントです。

そもそもあんまり興味をもたれないこの業界なのだが、僕はけっこう好きでこの障害者支援や高齢者介護の業界にかれこれ15年くらいいる。

かつてヘルパーとして働いていた重度訪問介護や移動支援という事業を今では自分の法人として展開しているわけですが、すごく良い制度でもあり穴の空いている制度でもあると感じています。

タイトルである『障害者が税金使って楽しく社会参加なんてあり得ないだろ』という考え方を持つ人のことを僕は心配します。自分自身や家族や大切な人が何かしらの病気や障害と生きていくことになったときに、この国の制度を活用して移動したり働いたり暮らしたりすることになると思うので、その尖った言葉や価値観の矛先が自分自身に向いた時にどうやって処理するんだろうと心配になります。

僕としては、税金使っていようがいなかろうが社会参加というのは人間にとって非常に大切で、障害の医学モデルから社会モデルと言われるように時代や価値観もそのように移り変わっているんだと思うんです。

そして、その大切である社会参加をするには誰しも一定のお金が必要になります。飲みに行くでも遊び行くでも学びに行くでも。障害の有無に関わらず。

そのために働ける人は働いて得た資金を元手に社会参加を行うと思うのですが、例えば障害があって働けないとか、就労支援施設で働いているけど月給が1万円くらいとか、障害児を育てていてフルタイムで働けない親がいるとかそういう事情のある人ってどうしているんでしょうか?

2016年の記事にはなりますが、日本経済新聞では「生活に苦しむ人の割合を示す相対的貧困率が障害者では25%を超え、4人に1人以上が貧困状態にあることが分かった。障害のない人の数値に比べほぼ2倍だった。」と報じています。


そもそも金銭的に厳しい状態の人がどうやって社会参加や余暇のためのお金を捻出するのか?ということに加え、例えば身体障害があったり知的障害があるときには外出先のバリアフリーやユニバーサルデザインの状態も社会参加できるかできないかの大切な条件の一つになります。

そういった現状へのソリューション(解決策)として海外ではこんな動きがあるんです。

『障害のある人がフェスに無料で参加できる仕組みを構築するNPO』


日本でも何かサステナブルな仕組みが作れないかなぁと考えるのですが、国内でもこんな素敵な動きが出てきているんです。

『福祉施設に在籍する、主に知的障害のある方々が描いたアート作品を「商品」として変身させ、世に伝えるブランド』


『福祉をたずねるクリエイティブマガジンとして、福祉発のユニークなプロジェクト、プロダクト、カルチャー情報から、現代社会を捉えるための思想や書評、対談まで幅広い情報をお届けする』


『孤独化の要因となる「移動」「対話」「役割」などの課題をテクノロジーで解決し、これからの時代の新たな「社会参加」を実現する』


めちゃくちゃ良くないですか?こういうソーシャルビジネスって賛同する人は勝手に賛同して行動できて、賛同しない人は賛同しないだけのシンプルな仕組みなんですよね。

こういう流れを僕らが取り組む「移動支援」という分野でも展開できないかなと思って、まずは僕らが大好きな業界である音楽やクラブやフェス界隈で少しずつ動き始めてみました。

例えば移動支援の一環でクラブに行ってみたり、、、


移動支援の一環でフェスに行ってみたり、、、


このようにいくつか動いてみて、出てきた課題がやはり「お金」だったんですよね。上記で述べたような現状の中でわりとお金カツカツで厳しい状態で生きている障害者やその家族がいくら社会参加したいと思っていても先立つものがないとなかなか行動に移せない。このような理由で今回のフェス参加を断念した方々がWASSUPの利用者にも多くいました。「でも、そんなの障害の有無関係ないじゃん。金なんてみんなないし、みんな欲しいよ!」という声が聞こえてきます。
ですよねー!でもなんとかしたいんですよねー!!

例えば!例えばですよ、
何かしらの障害や難病のある方がいるとします。Aさんとしましょう。
Aさんは音楽が大好きで、住んでいるグループホームではいつもロックやパンクやヒップホップやテクノやハウスを聴いています。朝から晩まで色々な生活のシーンで音楽を聴き分けながら心から音楽を愛しています。しかし、フェスやクラブには行けません。なぜならば自らの障害や難病が理由で働くことができない上に、そういう場所に連れて行ってくれるような福祉事業所がないからです。そのままAさんはフェスやクラブに行く妄想をしながら、、、年老いて、、、。

と、その時、目の前に現れるヒーロー的なサムバディ。
仕事もしているしフェスやクラブにも行けてるし人生最高に楽しいぜー!というポジティブバイブスごりごりのヒーロー。
『ヘイブラザー、そんなに音楽ラブなんだったら一緒に行こうぜ!フェスでもクラブでも!騒ごうぜ!』
的なノリでその人のフェスやクラブの入場料をカンパしてくれる人がいたら。。

だからってなんか「寄付してやったぜ」みたいな感じじゃなくて、会場で待ち合わせして一杯だけ互いに乾杯して記念写真でも撮って好きなアーティストを見に別々の道をゆく二人。。。みたいな対等な関係。

そんな対等な関係を保つにはこの寄付(カンパ)という手法だとどうすればいいんだろうか?寄付者に対してどういうリターンというかメリットがあったら喜んでAさんのためにカンパしますかね?別にカンパしたものがフェスやクラブの入場料限定じゃなくてもいいよね。社会参加のために使ってくれよ!という感じでざっくり金額決めてカンパできる仕組みがあってもいい。

*単発寄付:寄付者(ここで言うヒーロー:カンパマン)から「○○円寄付するから〜〜のために使って欲しい」というような意思を受け取った上で僕らが企画を立てて利用者(ここで言うAさん)と社会参加活動を行いその結果の報告もする

*定額寄付:月々の寄付金額によって支援できる内容が違い、月1000円:一人の動物園代、月3000円:一人のチームラボ参加代、月5000円:一人のディズニー代、月7000円:一人の温泉代、月10000円:二人のディズニー代 を寄付することになり、利用者は社会参加活動を行いその結果の報告もする

みたいな感じで支援した内容もしっかり報告として寄付者にフィードバックできたら良いんじゃないかなーと思うわけです。

でもこれだけだと何かが足りない気がするんですよねー。

あくまでWASSUPの利用者に向けたエゴイスティックな活動であり広い社会を見渡した時に多くの人の社会参加を生み出せるものではないかもしれないなぁとか。寄付などのアクションを起こしてくれた人に対するリターンが報告だけでいいのかなぁとか。

けど、こういう実験的な動きをしてみる価値はあるし、始めてみないと課題も見つからないし、やってみたいなと思うわけです。

なんで自分はそんなに「障害者の社会参加」をなんとかしたいんだろう?って考えると、今まで出会ってきた障害の当事者や家族の顔が浮かぶからなんですよね。圧倒的にないんだよね、チャンスが。誰かがうりゃ!って動かないとマジで社会参加のチャンスがまったく巡ってこない人が本当にたくさんいる。移動できる身体でも知的障害があって一人で移動できないとか、知的障害はないけど移動先のバリアが多すぎて一人で移動できないとか、福祉サービスに入っている事業所や家族の賛同が得られなくて一人で移動できないとか。そういう人ばっかりだったんだよね。僕はかつて一人のヘルパーとして目の前のその人を外に連れ出して色々な場所に行くことしかできなくて、でもその方法だと仕組み化されていないから僕というヘルパーがケアに入らなくなったらその人の社会参加が止まってしまうという状態だったのです。それが悔しくて起業して、文化形成から取り組もうと思ってNPO法人を作ったわけですが。。。まだまだ、なーーーーんにもできていません!!

もしこういう動きに賛同してくれる人がいるならば、下記のリンクからうちの既存の寄付募集ページを見てみてください。「もっとこういうシステムで運用するならカンパマンになってあげてもいいよ」という意見も欲しいですし、「いいからやってみなよ!」という感じでもしその場でカンパアクションを起こしてくれる人がいるならば、寄付しつつ必ず事務局にメッセージで「こういうことに使ってくれ」って送ってみて欲しいです。そこからフィードバックもします。何が良くて何が悪くて、どうすればサステナブルな仕組みになるかを一緒に考える仲間になるみたいな感じで関わってもらえたら嬉しいです。


あ、あと僕この前、人生で初めてNPOに定額寄付して会員になったんです。
この前京都のIVSってイベントで一緒に登壇した認定NPO法人D×Pの今井くんと話した流れでそのまま会員に。もうすぐ3000人だって!すごくないか?こういう仕組みを作れる経営者本当にすごいなーと思うし僕にはない才能だなぁと思う。


NPOですげー!って思うところをもう一つ挙げるとやっぱりフローレンスかな!
駒崎さんが作ったこの寄付とビジネスの両輪のモデルは本当にリスペクトフル。すごくバランスがいいし、憧れの存在です。


なんか周りのすげー人たちの宣伝ばっかりみたいになっちゃったけど、Ubdobeも忘れないでください!がんばります!


以上、長文にお付き合いいただきありがとうございました!!!!
いつも話が長くてすみません!!!!
また聞いてやってください!!!!
では!!!!


NPO法人Ubdobe 代表理事
岡勇樹

http://www.ubdobe.jp


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