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パスカルの入口「パンセ」①


パスカルは数学者、自然科学者として早くから「パスカルの三角形」「パスカルの原理」「パスカルの定理」などの発見で功績を残しました。

その一方で彼は、ルネサンスを経た「科学・理性の時代」にあって「キリスト教を信仰すべき」と人々に説得することを使命としたのでした。

それを著書にまとめる前に、パスカルは39才の若さで病死してしまいます。

「パンセ」(1670)は、その準備段階として思いついた事を書き留めた数多くの断片的な記述を、遺族らが編纂し刊行したものです。

第一部では、人間の惨めさや人生の絶望を徹底的に説きます。そして人間の営みとはことごとく、「死」から目をそらすための「気晴らし」と断じます。

第二部では、この不幸な宿命から脱却するためには信仰が不可避である、と述べます。
この部分は私たち日本人の多くにとってわかり辛いところかも知れませんが、いくつかを断片的に挙げておきますと・・・

・理性の最後の一歩は、理性を超えるものが無限にあるということを認める
 ことである。

・神を知ることから、神を愛するまでには、何と遠いへだたりがあること 
    か。

・人間は神が何であるかをほとんど知らないため、自分自身が何であるかも
 知らない。

・神は、心を尽くして神を求める人々にはありありと現れ、心を尽くして神
 を避ける人々には隠れたままでいようとされる。

・神を直感するのは心情であって理性ではない。これがすなわち信仰であ
 る。

・空間によって、宇宙は私を包み、一点のように呑み込む。しかし、思考に
 よって私は宇宙を包む。

・われわれは生まれつき不正である。なぜなら、全てが自己へ向かっている
 からである。このことは全体(イエス)の秩序に反する。

ブレーズ・パスカル(1623- 1662~フランス・哲学者、数学者、神学者)
「人間は考える葦である」など数々の名言で知られる。代表作は遺稿集「パンセ」。「パスカルの定理」などをはじめとした数学での功績なども後世に大きな影響を与えた。⇒「パンセ」②に続く


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