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羅針盤

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URBANRANCH新世界紀行 序章

世界一周に旅立つまでの軌跡を追ったドキュメンタリー

演出・撮影・編集 吉田和史

羅針盤

北海道各地を巡り、最後のワクチンを打ち、出国まで残り3週間。
その間、細かい準備や確認をしつつ、お世話になった方々と毎日の様に食事の機会を頂いた。
それだけではない、お餞別をくださった方々も沢山いる。

営んでいた店のお客さん、学生時代の仲間、幼馴染の友達…ただ好き勝手やってるだけの自分に大勢の人が声を掛けてくれる。
店を引き継いで頂いたオーナーとスタッフは送別パーティを企画してくださったりもした

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駆け抜ける満月の夜空に咲く

札幌に着き、すぐさま旭川行きのJRに乗り、着いた頃にはもう夕方だった。

「今からなんだけど、どう?」

急遽連絡を取り、駆け付けてくれたのは大学の後輩。といっても、会うのは今回で2回目だ。
同じ音楽サークルだったのだが、学年が4つ離れているので学校で顔を合わせることはなく、共通の仲間を通じて知り合ったというわけだ。

それでも同じ趣味での繋がりというのは、とりわけ年齢や性別、関わる時間を越えて親

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運河の片隅、国境を越え

札幌を離れ、小樽に着く頃にはすっかり暗くなり、辺りは街灯に照らされ賑やかな装いになっていた。

駅前のホテルにチェックインし、荷物も置かずにまた外に出る。
この日は相当歩いたので休みたかったのだが、その前に買っておきたい物があった。

ホワイトボードである。
これを使って世界各地でヒッチハイクしようと思っているのだ。

と、その前にこの小樽から再び札幌までチャレンジしようと考えていた。
近くのドン

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年月を経て

その後、小樽へ向かう途中で札幌駅に降り立った。
目的は2つ。初めて一人暮らしした街を見ることと、以前経営してた店のお客さんと再会することである。

陽の射す正午の大通り、ススキノをのんびりと練り歩く。
社会人になりたての頃は某アパレル会社員として、この辺りに勤めていた。
無くなった店や新しく出来た店もあるが、街並みが変わって見えるのは恐らく自身の心境の変化からだろう。
初めは大都市で一人暮らしする

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生きてる証

翌朝、函館を出発し室蘭へ。
マツモトさんに会いに行くためだ。
会うのは今回で2回目になる。

初回は半年前。層雲峡ロープウェイの受付で、たまたま私の前に並んでいらっしゃったのだ。
朝一から並ぶ人達は登山目的で、ロープウェイで途中まで行き、そこから歩いて頂上を目指すので装備も相応だった。
そんな中、私だけ観光客丸出しの格好である。

『なんや、変なヤツおるなぁ』
これが私に対する第一印象だったようだ

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LIVEハウスは見つからない

帯広を出発し、次は函館に向かった。

2002年から2006年まで私はURBANRANCHと書いてアバランチと読む、何とも覚えにくい名前の3ピースバンドでドラムを叩いていた。
道内各地を周っていたが、ここ函館も遠征LIVEを行った思い出の土地。
なので出国前にもう一度訪れ、あのLIVEハウスを見てみたかったのである。

『たしか五稜郭タワーの近くだったな』
正午過ぎに駅へ着き、今にも雪が降りそうな

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その先に

偉そうに語れるほど長く生きてもいないが、ツブしが効くほど若くもない。
そんな歳になる頃には、どうしても初めての事に挑戦するのを躊躇ってしまう。

「年齢なんて関係ない」

どちらかというとそう思う方である私でも、やっぱり恥ずかしい事はある。
失敗する事は何も恥ずべき事じゃないとわかってはいるのに。

ただ、計画を完遂するためには移動にいちいちお金を払っていくわけにはいかないのだ。
と、それもそうな

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子供達に教えられること

モンゴルの学校にボランティア希望メールを送った。
2カ国目のこの国で予定を先に決め、それに合わせて韓国滞在期間を決めたいというわけだ。

以前書いた通りだが、韓国の宿に長期は泊まれない。

かといって、ただ長く居るだけの為にリスクを背負って野宿する気にもなれないので、短期で爪痕を残して早々にモンゴルまで行きたいのだが…。

それはそうと、私が子供達に教えられることって何があるだろうか。
とりあえず

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フリフラレ

というわけで、例のボランティア希望メールの返事が届いた。

当然の如く「I'm sorry」である。
早かったし、短かったなぁ、返答。切れ味抜群だったわ。スパッとね。

正直、予想はしていたので驚きはない。
というのも、今回のホストは女性1人と犬1匹暮らしとの事で、しかも同じ家(1階と2階)で宿泊という条件だった。
ちなみに要請内容は庭の手入れと犬の散歩。

そりゃあ見知らぬ男が突然「お願いします

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キャッチボールではなく、ラリー。

出発まで一カ月を切った。
相変わらず旅準備を進める中、有難いことに多方面から食事の機会を頂き、今週は北海道各地1287kmを周ってくる。
あまりにも毎日が早く過ぎていくので、少し焦りを覚えるほどである。

だが、そんな嬉しい悲鳴ばかりではない。
一カ国目の韓国で、未だにボランティア先が見つからないのだ。
いくらメールを送れども、OKの返事は来ない。

自分の過去を振り返ると、私は今まで面接というも

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ウィーリー君と脳が震えるアップルパイ

住み込みボランティアではないが、ホームステイをしていたことはある。
米マサチューセッツ州にある、ブルックラインという街。
豊かな自然と歴史的な建造物が同居した、ボストンのベッドタウンだ。

そこの一家庭にお世話になり、ウィーリー君という当時ジュニアハイスクール生の子と一緒に中高一貫校へ通った。
真ん中分けの金髪で碧眼の彼はとても明るく友好的で、あっちこっち見渡しては珍しがる私にその碧い眼をキラキラ

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知らないもの

「申し訳ありませんが、あなたを迎え入れることは出来ません」

韓国行きが決まってから数日、複数の農家さんへ住み込みボランティアの要望をメールしているが、返答は全てコレである。
そりゃそうだ、いきなり見ず知らずの日本人から連絡がきて「はい、歓迎します」と返してくれる所はそうそう無いだろう。

とはいえ、全く無謀なことをしているわけでもない。
Workawayというサービスがあり、つまりは「ボランティ

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部屋の窓から覗く木

出国まで2カ月を切った。
昨年末に13年程営んでいた店を閉め、その片付けも終わり、ようやく旅支度を本格的に進めていこうといったところだ。
今は部屋の窓から覗く木を眺めながら、毎日パソコンで作業している。

これまでも情報収集やワクチン接種など準備を進めてきてはいたが、いざ出国が近くなると決めなければならない事が多い。
海外保険、防犯対策、チケット、宿はもちろん、使用するカードやメール、アプリに至る

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