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ファンタジーでできている

山根あきらさんの、3冊の愛読書で自己紹介をする企画に参加します。

愛読書といいながら、日々読むように片時も手元から全部離さないというわけではないのだけど、何度も読み直している本たちを選んだ。

1、小野不由美「十二国記」シリーズ『月の影 影の海』上・下

中学生の頃に出会って、一番衝撃的だった本。

「十二国記」のシリーズでは、『図南の翼』や戴国にまつわる物語の方が、人気があったり、読んでいて心地良さがある人も多いらしい。

でも私は、この『月の影 影の海』を一番何回も読んでいる。

物語は、主人公が突然異世界に連れてこられるところから始まる。わけも分からない中、誰も信用ならない。みんなが命を狙ってくる。必死の逃避行。

主人公・陽子の心身ともに暗い暗い道のりが描かれる。「ネズミが出てくるまで頑張って」と言われるほど、あまりの悲惨さに読んでいて脱落する人も多く、シリーズの他の作品を好きだという人もいるようだ。

私がこの本を愛読する理由は、人生ってこうだよなと思うから。

私は異世界に行ったこともないし、突然わけも分からず、命を狙われ続けるような経験もない。

私の中学から始まる思春期という時代は、生きるのに必死な時代だった。そんな時に、この本に出会った。

陽子の凄まじい生きる力、生きることへの執着(もとの家に帰りたい欲)、来し方行く末を振り返り、また進んでいく力、間違ったと思ったら、正せる力、己と戦う力。

何もかもが綺麗ではなくて、世界は泥臭くて、血まみれで、誰かの損得勘定の薄汚さに満ちていて、私とは関係なく勝手な都合でまわって行く。

一緒じゃないか。

十二国記は確かに異世界のファンタジーだけど、間違いなく人間の世界で、人間の醜くて、最低な部分は、私の生きている現実と同じ。

私は陽子になりたい。

陽子のように今の苦しさを生きぬいて、自身の間違いに気づいたら、自分で正せる人間でありたい。自分と戦える人間になりたい。

泰麒にも、珠晶にもない煌めきが、陽子にはある。

だから私は陽子が好きだし、この本が一番の愛読書。

2、向山貴彦『童話物語』上・下

この本も中学生の時に出会った。

物語はファンタジーだけど、この本もまた「十二国記」のような、読んでいて痛みがある本。

主人公・孤児のペチカは、その日食べるものにも事欠く生活をしている。そこへ妖精フィツが現れたことにより、住んでいた街からも追い出されてしまう。

人間界では、妖精は「妖精の日」と呼ばれる世界最後の日の使者と信じられ、呪われた存在。

ペチカは、それまでの孤独と劣悪な生活、周りの人達からの差別や偏見で、性格や考え方がかなりねじくれている。

どうにもまっすぐ、せっかくの優しさにも素直に受け止められすま、生きられない。

この食べ物を、目の前の腹を空かせた子猫にやるか、同じように腹を空かせた自分が食べるか。

ペチカは自分が食べることを迷うことなく選ぶ。

次の日の朝、子猫の死骸を見ることになることを知っていても。後悔しない。

街を追われたペチカが、旅をしながら、人間として成長していく物語。

読み終わった時、もう二度と読みたくないと思いながら、何度も読んでしまうような本。

愛情や信頼、人間が生きていく上で一番大事な土台になるものが欠けた状態で、ペチカは育つ。

ペチカの残酷さや性格の悪さは、最近よくあるような「悪役令嬢のなんちゃら」に出てくるような悪役よりもっと凄まじい。普通にこんな子供が主人公でいいのかと思う。

「童話物語」と牧歌的なタイトルが付いている。ペチカの旅の最後を思うと、物語が閉じてくれてよかったと心の底から思う。

私自身が人を信じられない時に出会ったからこそ、ものすごく刺さったのだと思う。

3、武内直子『美少女戦士セーラームーン』

言わずと知れた有名漫画。

月野うさぎは、ある日現れた黒猫のルナから不思議なブローチをもらって、セーラームーンに変身する。その日から、平凡でおバカな中学生に過ぎなかった月野うさぎの、人々を守る戦士として、自分、仲間、果ては銀河の運命をかけた戦いの日々が始まる。

5部まであるシリーズ。

アニメ(出てくる回数は少ないけど、漫画にも出てくる)のセーラームーンの決めゼリフ「月に代わってお仕置きよ!」は有名だし、セーラー服にミニスカートという特徴的なコスチュームや、プリンセス設定やと、話題には事欠かない。

私はこの漫画とアニメに育ててもらったようなものだ。

セーラームーンなくして、幼稚園時代も小学校時代も語れない。

泣き虫で、意気地無しで、でもいつも最後にはたった一人、幻の銀水晶を胸に敵に立ち向かい、飛び込んでいく。

セーラームーンは初志貫徹の徹底的で、完璧な強いキャラクターではない。

だから好き。

迷いながら、挫けながら、でも最後は立ち上がって、敵や自分と向き合って戦う。

そういう姿が格好いいと思う。

ーーー

ここまで3冊の魅力を書いてきて、私は登場人物の生き様に憧れや、物語の描かれ方に自分の世界を重ねることができる時、その本が好きになるようだ。

3冊を選ぶのに迷いはなかった。

そう考えると、中学生時代から成長していないような気もする。影響を受けた本、もっとあるはずなのになぁ。

自己紹介として選ぶには、ファンタジーすぎた選書な気もする。

でも私の生きたいロールモデルのような人は、ファンタジーな物語や小説の中にいるらしい。

決して真正面から、格好いい人達と言えないけど、この記事が私の自己紹介になったらと思う。

【今日の英作文】
自炊の方が安上がりですが、外食も時々したいです。
Cooking for myself is cheaper, but I sometimes want to eat out.

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