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The DOCTOR

2021.12.10
穂の国とよはし芸術劇場 PLAT

前回、豊橋行った時は公演中止だったから、嬉しかったなぁ〜☺️

観劇して、思ったこと、感じたこと、ネタバレ。

両親が旅行に行ってる際に、未成年の少女が自ら人工中絶を試み失敗(おそらく望まない妊娠、両親に言えなかった)。敗血症を発症。大竹しのぶさん演じるDr.ウルフのところに搬送され、主治医として患者を救おうとしたことが発端となって始まる物語。

少女は病院に搬送された時には、抗生剤も効かず、もうすでに撃つ手がない状態だった。それでも、患者が息を引き取るその時まで、その1秒前でさえも絶対に諦めないと何度も口にしていた。
病院が両親に連絡、両親は旅行中であったため、病院に到着するまでに時間がかかってしまう。両親はカトリック教徒であったため、神父に娘のところへ行ってほしいと頼んだ。両親はカトリック教徒だが、少女は教会には行っておらず、カルテの宗教欄は空欄。
両親が不在の中、未成年の判断は主治医に委ねられているため医師は「重症であり、家族以外の面会謝絶であること。少女はカトリック教徒とはいえず、今神父が少女の前に現れたら少女は自らの死を連想しパニック状態に陥り、やすらかな最期を過ごせない」と判断し神父の面会を拒否する。患者の命を救う切迫感もあり、それでも神父は面会を求めたため苛立ちもみえ、強めの言葉を放った。しかし、神父は少女の最後の典礼のため、病室へ押し入ろうとする。そしてその時、少女は息を引き取る。

医師はただ『自分の患者を助けたかった』それだけだった。医師として、少女に最善を尽くしたかった。
医師の判断について、同業者としてわかるとしか言えないけど、これが大変な事態を招いてしまった。
患者のことを考えていたけど、実際に患者の意思は尊重されなかったこと(重体であり、会話は困難であったが、神父に来てほしいか患者に聞かなかった。もし患者がそれを求めていたら患者の意志は尊重されなかったといえる)、両親がしてほしいことはされなかったこと、黒人神父に放った言葉について世間からバッシングされる。
白人である自分、ユダヤ人の自分、また女性で医師として働いている自分として、上から人を見てるのではないかと偏見を受け、匿名の嫌がらせが止まらなくなる。医師はバッシングに怯え、家に閉じこもる。
少女が病院で人工中絶できていたら、命を落とすことはなかった。神が与えた命を奪う中絶は絶対にダメだという宗教的価値観のために、少女は両親に相談することができなかったに違いない。しかし、その中でも医師は少女にできることをやった。自分は何も後ろめたいことはやっていない。自分は何にも属さない、ただの人間である前に医師であると。ディベートに参加することを決意し、自らをバッシングする世間と真っ向にぶつかっていく。

医師の志は素晴らしかった、自ら放ってしまった言葉によって人生が揺るがされた。感情によって放った言葉が誰かを傷つけたり、自分では気づいていない誰かへの差別が隠れていたり。普段の会話であったり、SNSでの発言だったり、言葉が持つ力の強さ、その恐ろしさを考えさせられた。

未成年、人工中絶、医療、倫理、人種、宗教、ジェンダー、LGBT、偏見、人権、メディア、誹謗中傷、、、。
いろんなことが詰まっていた。いろんなことを考えてさせられた。重たかった。医療現場ということで、とても身近なことに思えてドキドキした。
私はキリスト教徒の立場で、この現場に出会ったら?もし、この少女の親だったら?どう考えるかな?なんて言おうかな?っていろいろ考えるだけでも、めちゃくちゃ面白かった!!!!

気になる、心に残った台詞もたくさんあった。
・医療はあいまいではいけない、徹底的に定義を示さなければならない。そうでないと過去に亡くなった人のためにも、未来の人のためにもならない。
→人の命の尊さがわかってる人にしか、こんな言葉言えん!しかし、台詞が"あいまい"にしか覚えてなくて、文字起こすにも心苦しい😂

・私は人間である前に、医師です。
→医師としての判断、素晴らしすぎる。でも、医師だけど、それよりも何よりも人間なんだよなぁ〜とも思った。医師としては完全に正義だけど、人間としては?って考えさせられた。難しい。

・自分は何者であるか、謝るようなことではない。
→そうだよなぁ〜。ユダヤ人だって言ってもユダヤ教ではない。親がカトリック教徒であっても、少女は、、?とか。生まれは自分じゃ決められない。でも、そこから自分は何者であるのかを過去を見つめたり、今を、これからを何者としてらどう生きるか。常に考えさせられる問題だよね。アイデンティティと多様性!!!

村川絵梨さんの役で広報的にアウトワードとか、え!その言葉でそんな捉え方されるかもしれないの!?って驚きの連発だった。

戯曲気になるなぁ〜。購入検討!!!!

カーテンコールではものすごくシリアスな役だった大竹しのぶさんが、いつもの可愛い笑顔でちょこちょこってものすごいスピードで走ってこられて、手を振ってくれてほっこりしました😊💓

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