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「落ち込んでる時間」をひたすら長引かせる厄介なやつ


こんちは。
いま、次の本の最後の詰め作業をしてます。

チームで作っているんだけど、最初は遠慮の塊だったメンバーが、少しでもいいものを作ろうと最終的には本気でフィードバックをしあっているのがすごくよい。本当のことを言い合えるからこそ積み重ねられる信頼関係ってのがあるよね。

カバーイラストも、実際に収録されるもので、メンバーの一人であるイラストレーターのくぼっちぼっちさんに描いてもらっている。


さて、生きづらい人が落ち込みやすい「思考のトラップ」をずっと紹介しているのだけど、今回は「反芻思考」について。

反芻思考というのは、自分の欠点や不安、過去の失敗やつらい出来事を何度も何度も繰り返し考え続けてしまうことだ。「くよくよ」「うじうじ」と考えてしまう、アレのことね。
反芻思考の頻度が多いほど、生きづらさは増し、問題解決能力は下がり、睡眠不足やうつが多くなり、幸福度が低くなることが知られている。

反芻思考のもっとも厄介な点は、なんとなく「建設的な振り返りをしている」ような勘違いをしてしまうこと。
今後の自分に活かすために、反省していたつもりが、気がつくと「自分のダメさ」だけに焦点が当たってしまう。


もちろん、自分を批判的に振り返ること自体は素晴らしいことだ。非常にエネルギーが必要なことだけど、うまくいかない原因を特定できれば、大きく方向修正できる。でも、「なんで私はうまくいかないんだろう」という問いから始まる内省を自分一人でやることで、劇的な改善につながる的を得た気づきを得ることは、実はとても難しい。
その反省はいつしか「反芻思考」にすりかわり、自己否定のループにはまってしまう。


「反芻思考」とは、ネガティブな自己イメージを頭の中でジャグリングしているようなもの。「自己否定のループ」にはまりこんでいるだけで、気づきや学びがない。反芻「思考」とはいうものの、じつは思考は深まっていないのが特徴だ。ツライけど発見や成長があるのは「修行」といえるけど、それがないので、「ピュアな苦行」に近い。


◼反芻思考に陥りやすいパターン
人間なので、時には自己否定的な気分になっちゃうことはあるんだけど、普通はそんなに長引かない。
でも、その落ち込んだ気分がやたら長引いてしまうことがある。それどういうときかというと、落ち込んでいるいまの気持ちを、「過去の嫌な出来事の記憶」や「未来の不安」と結びつけてしまったとき。

「ああ、こんなことをしてしまって、ダメだなあ」と落ち込んでいるところに、「そういえば、昔もこんなことをしてたなあ」「進歩がないなあ」などと結びつけてしまうと、反芻思考のループはターボエンジンのようにガンガン回り出す。しかも、自己否定には一種の「酔い」みたいな症状がともなうので、ハマったらなかなか抜けられない。


自分を改善しようとして「反省」しているはずなのに、気がついたらそれが「反芻」になっている。
客観的視点を欠いてダメな自分にひたすら注目してしまうので、やればやるほど自分のことが嫌になり、本質的な自己理解からはどんどん遠ざかるので、得がない。でも、独特の「酔い」があるので、なかなかやめることができない。抜け出すのは至難の技なんだよね。ではいかに短時間で切り替えるか。


◼身体感覚に集中する
不安やネガティブ思考が長引くのは、ネガティブ気分に過去の記憶や未来の不安が結びつくときだと言った。
この無駄なタイムトラベルによって、ネガティブ感情の増幅回路にターボがかかる。その回路の接続をぶった切るのに有効なのが「いま」の感覚に集中すること。
マインドフルネスやヨガ、運動などは、過去や未来にタイムトラベルした感覚を、動いたり感じたりすることで「いま」の身体感覚に引き戻す。実際に、瞑想や運動で反芻思考が減少するというエビデンスは豊富にある。


◼「ピン芸での内省はムダ」であることに気づく
前述のように、一人で自分に対する問いを向けても、実りのある答えを得られることは少なく、「ピュアな苦行」になりやすい。だから、「なぜ自分は〜」という悩みは、「第三者」と一緒に向き合ったほうがよっぽど生産的になる。異なる視点からアプローチすることで、より客観性のある、的を得た思考になりやすい。また、ストレスフルな感情や出来事を「書き出す」というのも有効だ。「筆記療法」という言葉があるくらい、書き出すことの効能はパワフル。頭の中にわらわらとジャグリングされた状態から紙の上に置かれただけで、だいぶ距離ができる。
書いたものを誰かにみてもらうというのも、思考の整理としてとても優れた方法だと思う。

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Dr.ゆうすけとサクちゃんが「自己肯定感とはなんだろうね?」と語ります。(2018年3月分〜)

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