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【詩】消えた道はよみがえる

ここには道があった
確かに道があった
野原をひとが踏みしめた
ささやかな道が確かにあった

秋になり
野原が枯れ草となり
刈り取られ
茶色の大地があらわになった

何もない
生き物を思い出させるようなものがない
カラスが二三羽やってきて
こちこちの大地をつつく

この道に風が吹く
やわらかな南の風だ
雪を降らすような風じゃない
生き物をよみがえらせる風だ
道もまたよみがえる

草が元気に伸びだして
相も変わらずひとが通り
野原を踏みしめ
道ができる

春になればよみがえる
秋から冬に消え去った
今年の道がよみがえる

消えた道はよみがえる
時を経て
ひとが踏みしめ
何度でも
何度でも
よみがえる

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