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【詩】染まらない

手渡されたばかりの真紅の薔薇

赤く赤く咲き誇っていた

この世に生を受けたことを喜ぶように

真っ赤な花びらに水滴が落ちて丸いしずくが浮かぶ

しずくの中にはたくさんの色や形が躍ってる

日を追うごとに赤の深みが増してくる

どの日が境になったのか

赤に黒がまじるようになった

黒が花びらのはしから忍び寄る

まるで濃い血の色のよう

緑の葉はしおれても刺がいたい

刺に触れた指を急いで引っ込める

忍び寄る黑に負けまいと

開いていた赤は

遠くから見るとぎょっとするほど黒かった

近寄って見てみると決して真っ黒ではない

手渡された時と同じように輝いている

赤い色がささやきかける

決して黒には染まらない


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