デザインのルールをガン無視した服を作ってみる
去年の11月の半ばごろに色彩検定 (3級) を受験しました。
興味本位で申し込んでみたのがきっかけでしたが、本を買って勉強してみると日常に根付いていてわかりやすく、挑戦してよかったと思える内容でした。といっても試験の数日前まで全くやる気が起きず、公的な試験では稀に見る一夜漬けに似たことをしてしまった事実には、結果の如何にかかわらずいまだに反省しています。
試験当日。
会場に集まる他の受験者は明らかに女性が多く、少しの疎外感を抱きながら60分間、必死で解答。前日の睡眠時間が短かったことが不安の種でしたが、思った以上にテキストで勉強したことがそのまま出題され、
これ、テキストでやったところだ!
がたくさん感じられたのでよかったです。
手応えとしては流石に受かってるはず、というレベル。
部屋を出ると色彩検定2級の受験者が控えていました。3級より若干難しめで、色の勉強をより応用的に行う人向けの試験です。
色についての幅広い教養が求められる色彩検定では、色の名前を覚えるなどの基本的な事項のみならず、服装やインテリアの配色についての知識も学ばなければなりません。さすが2級を受けるだけあってみなさん服装のカラーコーディネートに気をつかっています。ありあわせの服で試験に挑んだ自分との違いに、素直に感服しました。
12月の頭に試験の結果が出ました。自己採点はしませんでしたが、ある程度予想通りの点数で合格できたので満足です。
順当にいけば次は2級を受けることになります。雑な勉強で合格してしまった身としては、戒めのためにも2級に挑戦するべきだと思っています。
2級というと服装の配色にもこだわっているような人たちが受験するわけです。僕もそうならないといけないのか、そんなにセンスいい服とか持ってないんだけどな、と思ったとき、邪悪な悪戯心が顔を覗かせました。
「敢えてデザインのルールをガン無視した服で受験したら、面白いのでは?」
いわゆる逆張りです。しかも色彩検定の勉強をしっかりやった人ほど、その異常さがわかるコーディネートにすればもっと面白い。
まあそんなわけで今年の夏の試験は、変な配色の服で臨むことになりました。
といっても服の配色って意外と受け皿が広いものでして。
色の三属性として
明度 (どれだけ明るいか、白に近いか)
彩度 (どれだけ純色に近いか)
色相 (赤や黄色、緑、青といった基本の色み)
の3つが挙げられますが、ある程度の色の数ならそれぞれの三属性を自由に弄ってもコーディネートとして認められます。小物で色を散りばめてもいいのですがピアスの穴1つ空けていないような人間ですし、夏の試験なので着られる服の枚数にも限りがあります。
ここである服の配色に目が留まります。
「多色配色」
さまざまな色相の色が含まれているアイテムを着こなすコーディネートです。色みが多くてまとまりが出にくいという難しさがあるため、それぞれの色の明度と彩度は揃えることが定石になっています。
つまり多色かつ明度・彩度をばらけさせれば、デザインのルールを無視した奇抜なファッションが完成するわけです。
そんな服が市販で売っているはずがないと踏んだ僕は、思い切って服のデザインを自作することを決意しました。
使ったのは自分でデザインしたグッズを販売できるオンラインサイト「SUZURI」。
初の洋服デザイン、楽しみですが緊張します。
さて、デザイン案ですが、
この両方を満たすものにしなければなりません。
①については色彩検定で勉強した「PCCSの色相環」が役に立ちました。これは全ての有彩色 (白や灰色、黒色以外) の純色を1〜24の番号をつけて定義したものです。1: pR (purplish Red: 紫みの赤) といったように名前がついているので、その名前と色を合わせ、さらにこれに無彩色 (Mono) を加えて、計25色からなる色相環を作成してみました。
続いて②については、こちらも色彩検定の勉強で触れた「PCCSのトーンの分類」が役に立ちました。トーンというのは似た印象やイメージを持つ明度や彩度の領域をまとめたもので、名前とそれぞれの明度・彩度はおおむね下のようになっています。
このトーンをそれぞれの色について別々に決めていけば、それぞれバラバラの色が作れるはず、といった寸法です。
全体のデザインとしては、基本の色相24色+無彩色1色の合計25色であることを生かして
5×5の正方形状に色を配置し、その下に何か書く
といった感じにすることになりました。
さて、どうやって決めていくかですが、完全ランダムで決めたいと思ったので今回はルーレットのアプリを使用しました。先ほどの色相とトーンのルーレット、それから彩度 (鮮やかさ) の指標が存在しない無彩色のための明度のルーレットを作成して、順番に引いていきます。
さらにランダム性を高めるため、出た色の並べ方にもひと工夫。
こうすることで最後になるまでどの色が重なるかわからないハラハラ感が得られるはず。
というわけでルーレットを回しまくり、抽選結果を書いてみるとこんな感じに。
下のサイトを参考にして色を作成して並べたのち、角を取って間隔をあけ、下に文字を置いてみると…
できました‼︎
変な服作ろうと思ったけど…
意外といい感じのデザインになってね?
これがデザインというものの懐の深さか…
嬉しいような悲しいような不思議な感覚ですが、とりあえず夏の試験はこれを着ていくことにします。
興が乗って長袖シャツとスマホケースも作っちゃいました。マイショップのせときます。
それではこのへんで。
おわり。
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