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インバウンドメディアと普通のメディアの違いとは?

こんにちは。インバウンド(訪日)メディア「MATCHA(https://matcha-jp.com/)」で編集長をしている植松と申します。

今回は前編後編に分けて、「【前編】普通のメディアとインバウンドメディアの違い」から、「【後編】インバウンドメディアは編集者としての感覚を養うのにうってつけの場ではないか」という話をしていきたいと思います。

"インバウンドメディアって何?"という方は、前に書いた「インバウンドメディアって知っていますか」をお読み下さい。

「伝え手」と「受け手」の距離が近いメディア、遠いメディア

例外も死ぬほど多いので、一般論として語ることには少し躊躇してしまうのですが、世間では「伝え手」と「受け手」が似た存在にあるメディアが少なくありません。

ゲーム好きがそのままゲーム雑誌のライターになったり、ラジオのハガキ職人がそのままラジオ番組の作家さんになる例は、みなさんも聞いたことがあるのではないでしょうか。

そもそもめちゃくちゃ大手のメディアでない限り、多くの人は自分の好きなジャンルのメディアを狙って就職活動をするはずです。

そのような場合、受け手(読者や視聴者)と伝え手(編集者やライターや構成作家)の距離は近くなります。すると受け手は伝え手に親近感を抱き、伝え手は自分の経験から受け手の思いを想像しやすくなります。

それはとてもよい関係だと僕は思います。

「自分とは違う人」に情報を届ける難しさ

しかし日本人がインバウンドメディアに関わる場合、宿命的にこの「受け手伝え手間の距離」がすごく遠くなってしまうんです。

なにしろまず国籍が違います。

国籍自体はただのパスポート上の表記かもしれませんが、そのほか例えば以下のような違いがあります。

- 持っている知識の量や質の違い
- 経験した歴史や文化の違い
- 伝える対象へのイメージの違い

上記のような違いは、同じ知識を共有していることを前提としたコンテンツ作りや、「自分がこれが好きだから、読者もこれが好きなはず」という直感的なコンテンツ作りの妨げになります。

日本人になら「徳川家康が愛した名湯」と言えば、それだけで由緒や歴史を感じてもらうことができますが、日本の歴史を知らない海外の方に伝える場合、「400年前くらいに生きてて」「侍で」「日本一偉くて」……と、まずは家康の説明から始めなければなりません。これでは記事の趣旨が変わってしまいそうですね。

これはメディアとしてはとても大きな問題です。

そこでMATCHAでは、日本のことをあまり知らない読者でもわかりやすい記事を作るため、いくつかの独自ルール・機能を採用しています(いずれ紹介します)。

また、ネイティブの編集者も採用し、「読者との距離が短いコンテンツ」の制作も昨年からスタートしています。

それらの工夫は概ね成功しているといえますが、そのような手探り感こそインバウンドメディアと他のメディアの違いかもしれません。

それでは今日はこのあたりで。

次回はインバウンドメディアの特殊性が気づかせてくれた、編集者の必須スキルについてお話します。

また明日。

植松

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