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地方活性化も点ではなく面で戦う時代

こんにちは。インバウンド(訪日)メディアMATCHA(https://matcha-jp.com/)で編集長をしている植松と申します。

海外の人は、日本のことを知らない

MATCHAで仕事をしていると「日本人が思っている以上に、海外の人は日本のことを知らない」ということに気付かされます。

それは政府の統計データ、サイト内のデータ、web上の検索データなどを見てもわかります。

訪日客が増えてきたこともあり、少しずつゴールデンルート(東京、大阪、京都など)にも人が訪れるようになっていますが、その差は歴然です。

もちろん詳しい人は、日本人以上に日本のことを知っています。日本文化、アニメ・マンガの知識、ジャニーズのことなどなど。

でも、一般的には日本のことはまだまだ知られていません。これから訪日客が増えれば、コアな日本ファン以外の旅行者も日本を訪れるようになるでしょう。

「東アジアに旅行に行くんだけど、中国と日本と韓国のどこに行こう」

その中から日本を選ぶような人も増えてきます。彼らは漠然と「日本」という国を選ぶのです。

みなさんはアメリカの各州の名前を言われ、それぞれ異なるイメージを描けますか? 中国の省の名前を聞いて、ご当地グルメを思い浮かべることができますか?

僕はできないです。

日本を訪れようとする旅行者も同様です。県はおろか、市区町村の名前なんか認知していない。それなのに現在各自治体では、訪日客を呼ぶこむためにPRに力を入れています。

これは、ライバルが非常に多い、頭ひとつ抜けるのが大変な戦いです(戦わなくてもいいんですが)。

インバウンドでは、まず認知されることが最初の関門になります。それなのにわざわざ競争率の高い分野で戦わなくてもいいのにな、と、はたから見ていると感じてしまいます。

都市ではなくエリアで考えるべき

日本の自治体は、どこも多様な観光資源に恵まれています。自分たちでもそれを自覚しているから、自分の都市だけで戦おうとしている。

でも同様に観光的価値を持つ自治体は全国に存在します。絶対価値は高くても、相対価値は必ずしも高くない。その視点の欠けている自治体が少なくないでしょうか。

海外の方が覚えていられる日本の地名の数は限られています。現在日本の地方公共団体数は1741だと言われています(wikipedia見ました)。市区町村レベルで覚えてもらおうとする場合、その他の1740自治体としのぎを削らないと行けないのです。

一方で、日本の地方は数え方にもよりますが約8つ。認知を目標とするのなら、近隣の自治体と競争するのではなく協力し、観光資源を共有して戦うほうが戦略としては正しいのではないでしょうか?

エリア間の陣地争いが生まれる

今後はエリア間で訪日旅行者の取り合いが進むと予想しています。

その先には、「各エリアにある自治体の取り合い」があります。

たとえば、瀬戸内国際芸術祭のおかげで、「せとうち」という言葉は認知され始めています。でも、瀬戸内の示す範囲ってご存知ですか? 広島や愛媛は瀬戸内だけど、山口は? 兵庫県は? 日本における地方とは、かなりアバウトな区分です。

中国地方、四国地方という言葉よりも「瀬戸内」という言葉のほうが認知度が増せば、瀬戸内に入りたいという自治体も増えてくるはずです。

淡路島を含む兵庫県、大阪、福岡など、瀬戸内海に面する自治体が瀬戸内の一部を名乗るかもしれません。

現在は東京や京都など、主要な都市ばかりがインバウンドの旨味を享受していますが、このような一強多弱の構図は今後、地域ごとの構図に変化し、地域の勝ち組負け組を生み出すのではないかと、僕は不安を覚えています。

個人的にはどうすれば日本全土が活性化するのかを考えたいですが、各自治体の方は、自分の自治体がどのような地方区分に組み込まれるのか、どの地方に属すればインバウンド市場で強者の位置をとれるのかを考えてもよいかもしれません。

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