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病んでもタダでは終わらない~「なぜ闘病記を発信するの?」/がん闘病記⑥

こんにちは。 #病んでもタダでは終わらない 渦巻(@uzumaki_628)です。
早いもので術後すでに4か月が経ちました。少しずつ生活も元に戻りつつありながら、胸中に抱く想い出口を失い渦巻くばかりです(渦巻だけに…

これは、想定外に我が身を突然襲った「がん」闘病記の第6弾です(2023年10月28日現在)。
昨今「がんは治る病気」とされ、事実、早い時期に見つかれば根治できるものになりました。でも、それはあくまで「早期発見」の必要があります。
ステージが上がれば高い再発リスクからは逃れられず、依然として警戒すべき病態であることに変わりはありません。
不調を自覚しながらも「何か見つかったら嫌だから」と、あえて検査から逃れようとする人たちが大勢いるはずです(まさに自分がそうでした)。
この闘病記をきっかけに、早期発見早期治療が少しでも広まってくれることを祈り続けます。

なお、この記事を有料化して一部クローズドにする理由や闘病記発信に至る経緯などは、初回記事冒頭(無料部分)にてご確認ください。
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それでは、ほぼリアルタイムでお届けする「病んでもタダでは終わらない」と題した闘病記の第6回では、元に戻りつつある生活と転移・再発・完治のハザマで揺れ動く複雑な想いをお届けします!(前置き、ながっ💦
※なお、記事は「だ・である調」で綴らせていただきますので、予めご了承ください。

2023年9月初旬:もとの生活を徐々に取り戻す


ほぼ普通の食事が摂れるようになり、根菜類など繊維質の多いものを食べても、トイレに駆け込む頻度は極端に減った。とはいえ、食事の度に便意が起こるし、普通の食事と言っても油分の多いものや香辛料など刺激の強いもの、肉類は鳥や豚を週に1回以下にとどめているので、世間一般で言うような「普通」ではまるでないのだろう。
それでも、毎晩の主菜となる魚料理のレパートリーは格段に増え、我が闘病生活の目標のひとつでもある「ペスカタリアン」への道も、まんざら夢ではなくなってきたと言える。

「ペスカタリアン」大腸癌の発生リスクを46%低下させたという話

車を降り自分の足で歩き始め得たもの

また、対面取材で外出する以外は、一日中ほぼデスクに座ってPCに向かう仕事でもあるので、運動不足は深刻な問題。しかしながら、入院中に外科病棟のナースたちにスパルタ指導を受けた甲斐あって、小まめに身体を動かす習慣が身に付いたのは感謝しかない。

仕事の合間にこなす家事に加えて、以前なら近くのコンビニや郵便局に出向くのにも車を出すようなカーキチ(昭和な死語で「車大好き」を表す俗語)であるが、極力、歩いくようになった。時間が許せば帰路はわざと遠回りし、車では決して通ることのない細い路地の、まるで時が止まったような風情を味わうこともでき、そうして得たものは計り知れない。

9月中旬:どうして闘病記を発信するの?

ところで、この闘病記を発信し始めたのは、毎回、冒頭で嫌というほど繰り返しているようにがんの「早期発見早期治療」の重要性を広めたいからに他ならない。が、開始するに当たって、ごく親しい仕事仲間に所感を求めたところ「闘病記なんか読むヤツいるのかよ」と手厳しい意見をもらい、確かに万人に需要のある読み物ではないよな、と思った。

元来、無料で成り立ってきたインターネット業界は、絶大な支持を誇るSNSの微々たる有料化にさえ大バッシングが起こる「タダの世界」であるうえ、知名度も影響力もない匿名個人アカウントの闘病記に商業価値など見い出せる方がおかしいだろう。
せいぜい同じ病気の経験者か、何かしら闘病中の本人や家族、または医療従事者や関連商売の面々に運よく興味を持たれるくらいなもので、それ以外は本当にごく親しい友人たちでさえ、お金を払ってまで読みたい内容などではあるわけがない(だというのに、多くの方にご支援いただき改めて感謝申し上げますm(__)m)

そこまで分かっていてもなお、発信し続ける意味はなにか。

「あなたは…どうして踊るの?」

「どうして踊るの?」

NHK連続テレビ小説@ブギウギ

新スタートの朝ドラ「ブギウギ」で主人公「鈴子」に歌劇団の先輩役・蒼井優がそう問いかけたのと、思わず重なる。

「どうして発信するの?」

渦巻@心の声

どうしてだろう、なぜ発信するのだろう。。

「がんになってしまった」という心の病(やまい)

これは前回の闘病記でも打ち明けた想いと似通る話になるのだが、一口にがん患者と言っても病態や症状は千差万別、治療方法も状況も環境も、そして心の在り方は誰一人同じということがない
もし、自分と同じ部位に同じステージの腫瘍が同じような大きさで見つかり、同じように切除術を行い、同じような病理結果を得たがんサバイバーがいたとして、その人が今後自分と全く同じ経緯を辿る保証などどこにもないわけだ。
だから「巨大な進行がんが見つかったけど切除して元気だよ」とか、逆に「リンパ節転移がなく安心してたのに再発しちゃったよ」とか、そいう発信でぬか喜びさせたり、絶望の淵へ追いやったりしちゃったらどうしようって考えだしたら、そう、もうなにも書けなくなってしまう。

「無責任な発信はしたくない」いや「無責任な発信で誰かを傷付けてしまわないだろうか」と葛藤のスパイラル、いやトルネード?
決して、悪者になりたくないわけではない。
ただ、自分と同じように病気と闘うひとたちを不用意に傷付けたくは、決してないのだ。

それでもなお、自分が発信に至るのは「がんになってしまった」という心の病に負けたくはないから
どんなに免疫力をあげるべく努力したって、身体はがんには負けてしまうかもしれないが、気持ちだけは負けたくない、負けないと思っている。
前向きな発信を続けることで自分自身を「騙し続けたい」からだ。

10月初旬:北海道から旧友が逢いに来てくれた

がんになったことで困ったことはたくさん出てきたが、良かったことも同じくらいたくさんある
これまで忙しさにかまけて後回しにしていたことが順番に片付けられていて、そのひとつがずっと逢えていなかった旧友たちとの再会だ。
10月初旬、高校時代を共に過ごした学友のひとりが、はるばる北海道から逢いに出て来てくれた。そのセッティングをしてくれた別の友人曰く、
「逢いたい人とは、逢えるうちに逢っておかないと」と。

確かにその通りで、自分は過去、若くしてがんで亡くなった友人に最期逢いに行けなかったことを未だに後悔していて、夢にまで見るほどだ。
後悔先に立たずという陳腐な台詞を、今ほど噛み締めた覚えはないだろう。

今、闘病中で逢いたい人がいて、なんとか都合のつけられる状況ならば、あれこれ考える前にぜひとも逢う約束をしてほしいと思う。

10月中旬:体調を崩し発熱と咳が続く

体調がもとに戻りつつあり、懐かしい旧友たちとも集まれ、すっかり元気になったつもりで調子に乗っていたのだろう。急に気温が下がり始めたことも手伝ったのか、体調を崩して発熱した。恐らく、少し前に風邪を引いていた息子から、うつされたのだと思う。
熱が下がると今度は喘息様の咳が出始め、もともと小児気管支喘息の既往があるため、咳でまともに眠れない日が続いた。夜になると微熱で日中は解熱という反復症状にすっかり疲弊し、息子の学校の保護者会や面談をキャンセルするなど、親として健全でいられない状況を恨めしく想い、情けなくて泣けた

気持ちだけではどうにもならないとこともあるが、それでもやはり一番大切なのは「心持ち」だと信じて、とにかく養生して過ごすうちに症状は治まっていき、無事回復した。
しかし、風邪を引いただけで2週間近くも具合を悪くすることに、我ながら驚きを隠せずにいる。自分は生まれながらにあれこれ病気との付き合いも長く、体調管理にはそれなりに自負があったが、医師たちが口を酸っぱくして言って見せる「病後の体力減退・免疫力低下」というのが、どういうことなのか思い知らされた。

10月24日:転移・再発・完治のハザマ

そうして先日、前回の検査から3か月――術後4か月の定期健診を受けてきたのだが、血液検査の結果、肝機能の数値が軒並み赤信号だった。
例の発熱時に、何度か解熱剤を飲んだからか、あるいは整腸剤代わりに術後からずっと継続服用している漢方薬の影響なのか、はっきりしたことは分からないので、とりあず2か月後・年末の造影剤CT検査まで漢方を減薬してみようということになった。
しかし、漢方内科の主治医は「現在の処方で薬害が出ているなら、もっと早く出ているはずだ」という。

大腸癌の転移好発部位は、肝臓と肺だというのは、世間でも言わずと知れたこと。咳が治まらなければ肺に転移したか(自分の場合は膠原病の主要疾患でもある間質性肺炎も同時に懸念される)、肝機能に問題があれば肝転移したかと、常に疑いの雲は晴れない

ディズニーの大ヒット映画「アナと雪の女王」に出てくるオラフを知っているだろうか。雪の女王・エルサが妹・アナのために作り出した雪だるまで、シリアスな要素を和ませるムードメーカーとして大活躍する重要キャラだ。作中後半、溶けないようにとエルサがオラフ専用の雪雲を用意してくれる。
そう、今の自分の状況は、このオラフそのもの。

自分だけの雪雲に喜ぶオラフ@「アナと幸の女王」より

「僕だけの、雪雲!」とオラフは大喜びするが、それは彼が雪だるまだからであって、自分にとっては鬱陶しいことこの上なし。
が、検査の数値上、がんの再発は確認できないので、理論上は安泰だ。
「いや、元気になられて本当に良かったですよ」
いつになく熱のこもった声で、無邪気に笑顔を見せる医師を前に、自分はたまらない気持ちになった。

涙を降らす「自分だけの雨雲」の正体は様々な感情の複合体

この消化器内科の若い医師が今後もフォローアップ担当医ということになるのだが、彼は最初に大腸内視鏡検査であの大きな大きな悪性腫瘍を見つけ、その後の手術までの一連の流れを、超速マッハで進めてくれた人。つまり、今回の病気において恩人のひとりだ。

ありがたいという気持ちと、辛い過去を思い出したような、時間が逆戻りしたような、さらに申し訳ないような、なんとも上手く言い表せない、転移・再発・完治のハザマで揺れ動く複雑な想いとでも言ったらいいか。
いろんな感情がごちゃ混ぜになって一気に襲い掛かってきて、思わず、涙が零れてしまった。

ドラマチックのすゝめ

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