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私の好きなクーピー

 入院していた時、母が塗り絵を買ってきてくれた。それと一緒にクーピーペンシルも家から持ってきてくれた。そのクーピーは、私が小学生の頃使った画材で、弟のも混ざっている。
「色鉛筆を持ってきてくれたらよかったのに。」
 正直言ってそう思った。色鉛筆の方が色がたくさんあるし、使い慣れている。
 ないものはないので、クーピーを手に持ち、塗り始めた。2ヶ月近くも寝たきりで、力がなく、塗れるか心配だった。ところがクーピーは軽やかに、色鮮やかな発色で私の心を引き上げた。一気に楽しい気分が戻ってきた。

 病気をして入院する前、水彩絵の具を使っていた。クーピーなんて暫く使ってなかった。子供が使うものだと思っていた。
 でもそれは間違った見方で、混色やグラデーションも豊かに表現できる幅の広い画材だと分かった。
 リハビリを重ね、ペンを持って書けるまでに回復した。久しぶりに描いた私らしい絵に彩色したのはクーピー。鮮やかにパッと輝く。

 クーピーの可能性をさらに広げたい。

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