くみこ

行政書士下尾文書作成事務所を運営しています。主に内容証明、契約書、示談書等の文書を作成…

くみこ

行政書士下尾文書作成事務所を運営しています。主に内容証明、契約書、示談書等の文書を作成しています。 そして、14才の時から憧れ、追い続けていた作家の夢を、手製本で花開かせています。 人の喜ぶ仕事をしたいです。

マガジン

  • 体験記 〜摂食障害の果てに〜

  • 不当解雇について

    不当解雇について、詳しく書いています。

  • 行政書士の事件簿

最近の記事

体験記 〜摂食障害の果てに〜(23)

 ある朝、喉の奥近くにできていた大きな傷がふさがり始め、舌の先の裂け目が閉じかけていました。 (治る!)  躍り上がるような喜びが、期待と共にわきあがってきました。とうとう私にも、治る時がきたのです。やっと水を飲める日がくるのです。その日から、口の中の傷は急速に治っていきました。  水を飲めるようになったら、今度は食事をしてみたくなりました。いつまでも点滴だけでは、家に帰れません。当たり前に食事できるようになって、早く退院したかったのです。 (おもゆでいいから、食事ができたら

    • 体験記 〜摂食障害の果てに〜(22)

       あまりのショックで、頭も心も、ガンガン鳴り響いています。布団の中で、喉と口が荒れた原因を推測しました。 (やっぱり胃液が逆流して、胃酸で口の中が傷ついたからに違いない。ならば、水で、喉と口の中の胃液をすすぎ落とすしかない!)  それは勇気がいることでした。でも、やらなくては治りません。二~三日躊躇していましたが、実行に移しました。  看護師さんにベッドを起こしてもらって、水をコップに汲んでもらうと、ストローでほんのわずか、水を吸い込みました。すると、耳まで裂けたかと思うほど

      • 体験記 〜摂食障害の果てに〜(21)

         絶食しているのに、胃薬を飲む必要があるのか、いつも疑問に感じていたので、先生に尋ねてみました。それと、膵臓からくる痛みを、胃液の逆流と考えていたので、胃薬で治るのか、も聞いてみました。  先生は、 「胃薬は、できるだけ飲んで下さい。胃薬で(痛みが)治るか、わかりません。」  と、部屋を出て行きました。私には、納得がいかなかったのですが、飲むことにしました。   膵臓は、消化液を作り出し、食べ物を消化・分解する臓器です。私のイメージでは、膵臓から消化液がでなくなったから、食べ

        • 体験記 〜摂食障害の果てに〜(20)

           痰も、ひっきりなしに出てきて、度々喉に詰まりそうになりました。自力で出せない時には、看護師さんに器械で吸い取ってもらいました。痰を吸い取る器械は、細いチューブで、水を溜めた容器がくっついていました。その容器に吸い取った痰が落ちるのです。ベテランの看護師さんは、喉に擦れることなく、痰を素早く取ってくれるので、安心してお願いできます。でも、一年目の看護師さんだと、鼻からチューブを差し込んで喉まで通すので、喉にチューブの先が擦れ、痛くて、「オエッ」となりました。  痰は出ても、唾

        体験記 〜摂食障害の果てに〜(23)

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        • 体験記 〜摂食障害の果てに〜
          23本
        • 不当解雇について
          1本
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          1本

        記事

          体験記 〜摂食障害の果てに〜(19)

           高栄養の点滴のおかげか、食事を摂らなくてもお腹は空きませんでした。ただ、食事の時間がきて、廊下が賑やかになると、なんとなく寂しいような気になりました。最初の頃は、何も食べたくはありませんでしたが、次第に(ゼリーを食べてみたいなぁ。)と思うようになりました。冷たくて、ツルーン、としたおいしいもの。……熱があったせいかもしてません。私の弟がゼリー好きで、よくブドウのゼリーを、風邪を引いた時に(元気な時にも!)食べていました。すると、無性に欲しくなって、たまらない気持ちでいるとこ

          体験記 〜摂食障害の果てに〜(19)

          不当解雇された時、労働基準監督署には、どんな証拠を持っていけば相談にのってくれるの?

          突然解雇された時の対処法~解決に向けて~ 私が以前、パートタイマーで勤務していた時のことです。ある朝、突然に勤務時間を変更されていました。 店長に契約の時間に戻してくれるようお願いすると、解雇されてしまいました。 納得のいかない理由で、突然解雇されてしまい、労働基準監督署に相談しよう、と思いました。 不当解雇の相談を労働基準監督署にする際には、証拠が必要です。 この記事では、不当解雇された時、労働基準監督署にどのような証拠を持っていったらよいのか、についてお伝えします

          不当解雇された時、労働基準監督署には、どんな証拠を持っていけば相談にのってくれるの?

          体験記 〜摂食障害の果てに〜(18)

           絶食になった為、差し入れで持って来てくれていたプリンやどら焼き等、全て家族に持って帰ってもらうことになりました。せっかく頼んで買ってきてもらったポテトチップスも、「見ると食べたくなるから」と、袋に詰められかけたので、 「治ったら食べたいから、それまで置いていてほしい。」  と、頼みました。 「いいよ。治ったら、ブドウジュースと一緒に食べようか。その時のお楽しみに残しておこうね。」  と、看護師さんが、笑顔で残してくれました。私は、看護師さんに心から感謝しました。この優しさの

          体験記 〜摂食障害の果てに〜(18)

          不当解雇の相談は、どこにしたら解決できる? 不当解雇の相談窓口について

          私の家族が不当解雇された時、どこに相談したら良いのか、悩みました。その頃、私は、不当解雇について、知識を持っていなかったのです。 一番に思いついたのは、労働局・労働基準監督署でした。 不当解雇された時、誰でも一番に思いつく相談窓口ではないでしょうか? この記事では、不当解雇された時、相談できる窓口を労働局・労働基準監督署以外にも3つご紹介しています。 相談することで、よい解決策がみつかるかもしれません。 是非、不当解雇の解決にお役立て下さい。 不当解雇を相談できる

          不当解雇の相談は、どこにしたら解決できる? 不当解雇の相談窓口について

          体験記 〜摂食障害の果てに〜(17)

          膵臓の悪化  毎日、一生懸命食べていましたが、次第に食べるのが苦しくなってきました。全く消化していないような感じで、気分が悪くなってきたのです。それでも(元気にならなくちゃ。)と、頑張って食べていたら、とうとう吐き気がして、一口も入らなくなってしまいました。気持ちと体の板挟みになって、涙が出てきました。看護師さんが心配してくれて、 「どうして泣くんですか? 少し休んで食べたらいいですよ。」  と、励ましてくれました。でも、もう一口もお腹に入りません。お腹が痛いような、吐きそ

          体験記 〜摂食障害の果てに〜(17)

          体験記 〜摂食障害の果てに〜(16)

           最初、家族との面談は禁止されていましたが、一般病棟に移って数日後、突然、面会が許されました。  私は、自分の体の中がどんな状態か、全くわかっていなかったので、 (もっと良くなってからにしてくれたらいいのに。)  と、思いました。言葉すら話せなくなってしまって、息をするのが精一杯なのに、会えば、さらに苦しくなるからです。誰にも会わず、そっとしておいてほしかったのです。  その時は、一度だけの特別面会ということで、父と母がやって来ました。弟が来ていないので、ショックでした。二人

          体験記 〜摂食障害の果てに〜(16)

          体験記 〜摂食障害の果てに〜(15)

           『食』のありがたさ  家族の気持ちはありがたかったけれど、甘いものは、全く食べたくなかったので、賞味期限が過ぎて、持ち帰ってもらうばかりでした。だから、せめて食事だけは、一生懸命食べよう、と決めていました。でも、スプーンに五~六杯が限界です。それ以上はお腹に入りません。看護師さんは、私のペースに合わせ、休憩を挟みながら、食べさせてくれました。  あまりにわずかな量なので、寝る時間にお腹が空きました。ただお腹が空く、というのではなく、全てのエネルギーが切れかけ、干からびてく

          体験記 〜摂食障害の果てに〜(15)

          体験記 〜摂食障害の果てに〜(14)

          面会  家族とは会えないまま、日にちが経っていきました。入院したばかりの頃は家族に会いたかったのに、毎日があまりに苦しいので、会う勇気が失われていきました。声すら出せなくなっていたので、誰とも会わず、そっとしておいてほしかったのです。なのに、母から『電話で話したい』と、伝言が入ったのです。看護師さんから伝えられて、拒否しました。ところが、母は何度も『電話で話したい』と、伝えてきます。困ったなあ、もう少し元気になるまで待ってほしい、と思いました。  すると、差し入れと一緒に、

          体験記 〜摂食障害の果てに〜(14)

          体験記 〜摂食障害の果てに〜⑬

           六人部屋の入り口近くが私の場所になりました。ベッドごとにカーテンで仕切られ、今までの個室に比べると、酷く狭く感じました。窓も遠いので外の風景も見えないし、風も届きません。でも、窓の方から明るいお日様の光が溢れ漏れてきて、パトカーや救急車の音も入って来て、人間世界の生きた音がいっぱい聞こえました。看護師さんや患者さんたちの声がそこいらじゅうに満ちて、のんびりした空気が漂っていました。  私の一番新鮮に感じたのは、人の肌です。看護師さんは半袖の制服を着ていて、髪の毛も顔も見える

          体験記 〜摂食障害の果てに〜⑬

          力になります。(内容証明書きます)

          『内容証明』とは何か?  内容証明は、郵便局で相手方に送った文書と同内容のものを保管し、必要な時、その内容を証明してくれるものです。  よって、後に争いになった時、有力な証拠になります。  例えば、貸したお金の返済期日が到来しているにもかかわらず、相手方から返済が得られない場合、内容証明が役に立ちます。  返済の請求をしないでおくと、時効により消滅してしまいます。通常の手紙やハガキ、又は口頭での請求は、「そんなものは知らない。」と、相手方から言われてしまえば、証明できな

          力になります。(内容証明書きます)

          体験記 〜摂食障害の果てに〜 (12)

          コロナが治った  息が苦しくて、(ひょっとしたら、息を止めた方が楽かもしれない。)と、考え、息を止めてみました。でも、しばらくしたら、やっぱり苦しいような気がして、また息を再開する、という事を繰り返しました。息をしていても、次第に息が止まってしまって、無呼吸になることも度々ありました。意識して呼吸するのですが、あまりに苦しくなって、看護師さんに、 「今、呼吸数が0になりました。」  と、伝えると、心電図と心拍数と呼吸数、酸素濃度を計測する機械を見て、 「機械ですから、あくま

          体験記 〜摂食障害の果てに〜 (12)

          体験記 〜摂食障害の果てに〜⑪

          体が焼かれる  私は眠っていないつもりでしたが、奇妙な映像ばかり見ていました。体育館の二階にベッドがあって、自分はそこにいる気でいたり、集会所のようなところで、多くの人達と布団を並べて眠っていたり。妖精が来るという草原で、建物の中からその様子を見守っていたり。あるいは二階から飛び降りて骨を折ったところで、母に助けてもらったり。でも、自分では、全て本当だと信じきっていたのです。病院にいるのに。  ある時、体が急に暑くなって、それは、死んだ時と同じ暑さでした。また死ぬのか、と思

          体験記 〜摂食障害の果てに〜⑪