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プロの指導者よりも大切なことがある。運動遊びプログラムの提供で気づいた子どもの運動能力向上のカギ

皆さん、はじめまして。
株式会社つなぐの代表をしています、原田直信(はらだなおとし)です。

先日、3月12日に放送されたNHKスペシャル「震災12年 復興の地図 〜“希望の芽”を探して〜」をご覧くださった皆さん、ありがとうございます!

私の想いを丁寧にご取材いただいたことにお礼をお伝えしつつ、あの場では伝えきれなかったこともあり、noteに記すことにしました。私や株式会社つなぐをご存知の方はもちろんのこと、幼児教育スポーツカウンセリングなどのキーワードにピンとくる方にぜひご覧いただきたいです。

株式会社つなぐが行う「運動遊びプログラム」について

私は2021年5月に株式会社つなぐを設立し、宮城県女川町を拠点に子ども達にオリジナルの「運動遊びプログラム」を実施してきました。約2年で保育所や小学校などを通じて、のべ200人以上の子ども達と向き合っています。

「運動遊びプログラム」と聞くと、「運動能力を高めるために行っているのだろう」と思われる方がほとんどです。もちろん一理ありますが、それ以上に子ども達の自己肯定感を高め、大人になっても「自分は大丈夫!」と自分らしさを大切にできる人を増やしていきたいとの想いがあります。

現在、私を起点に、つなぐの想いに共感してくださった仲間をコーチとして迎え入れ、複数の運動遊びを行いながら、子ども達一人ひとりとしっかり向き合える体制で運営しています。比較するのは他者ではなく過去の自分、徹底した承認の声がけなど、プログラムの内容だけでなく、そのやり方や仕掛けにもこだわっているのが特長です。

もちろん、これらも最初から定まっていたわけではありませんでした。しかし実際にやっていくなかで確信に変わり、今では自信を持って運営の核となりました。

運動能力を高めるだけでないプログラムの原点

私が運動・スポーツの世界に入ったのは今から約30年前。兄の影響で、3歳からサッカーを始めました。共にプレーをしていた仲間の中には、現在、日本代表や世界で活躍する選手も多く、当時からその差を痛感していました。正直、ずっと走り続けるサッカーは体力的にもしんどく、また大人になっていつまでプレーができるのか?と考えると、将来はプロの道を断つ選択肢しか浮かんできませんでした。しかし、中学3年生の頃に出場した全国大会で、当時、国見高校の監督だった小嶺忠敏さんにお声がけいただき、国見高校へ進学。高校時代もサッカーに明け暮れる日々でした。

実は、今の事業の原体験の一つには、高校1年生の時に小嶺監督にある言葉をかけられたことが影響しています。

「原田より努力しているやつを見たことがない」

毎朝6時にグラウンドにいらっしゃる監督。私もその時間から欠かさず練習を行ってきました。その姿を見てくださっており、他の部員がいる前でこうお話をしてくださったのです。

自分のことを見てくれている人は必ずいるんだ。
今でも鮮明に残る記憶です。

背番号7が私です

その後、大学までサッカーを続けましたが、卒業とともに引退。ロート製薬に入社し、地方での営業からキャリアをスタートさせました。毎日が充実していましたが、たくさんの方との出会いのなかで時に人間関係で悩むことも。そのなかで「自分自身の自己肯定感の低さ」を感じ、産業カウンセラーの勉強をスタートし、心理やカウンセリングの世界にも足を踏み入れます。資格を取得後、行っていたカウンセリングを通じて、子どもの頃の教育が成長や成人段階に影響してくることを実感するように。「子どもの教育に関わりたい」そんな想いを抱いていると、社内公募で公益財団法人みちのく未来基金への出向が決まりました。

仙台に生活の拠点を移し、基金での活動の他、仕事の関係で女川町にも関わるなかで、子ども達を対象に何か取り組みをしたい、との想いが高まっていきました。今回ご紹介のあったNPO法人アスヘノキボウが実施する「創業本気プログラム」に参加しながら、子ども達の保護者である、町の皆さんなどにもヒアリングを重ねていきました。

子ども達の運動への意識が薄いこと、体を動かして遊ぶことが少ないこと、自分で決める経験が少なく自主性が乏しいことなど。たくさんの課題があるけれど、スポーツの観点にカウンセリングのスキルを掛け合わせ、これらを解決できるプログラムを提供しよう、と決めたのです。

プログラム実施で見えた子ども達の変化

その後、ありがたいことに、保育所の皆さんから「原田さんのプログラムをぜひ!」とお声がけいただき、さまざまな運動遊びを掛け合わせたプログラムをスタートしました。子ども達一人ひとりに寄り添い、些細な変化にも気づき、徹底的に承認の声かけを行う。比べるのは他のお友達ではなく、過去の自分。できなかったことができるようになったり、さらに上達したり。クラスを重ねるなかで、子ども達が成長していくのは明らかでした。

その後、町からの委託を受け、保育所だけでなく、小学校の放課後を活用したプログラムも実施させていただくことになり、保育所を卒業した子ども達のほとんどが通ってくれるまでになりました。またその後も、口コミで参加者が増えています。運動に対するハードルも下がり、自ら楽しんで取り組んでくれるようになりました。さらには友達と話し合って決め、率先して遊びに励んでもらう姿が見られるようになったのは保育所の時代には見られなかった変化です。

保護者や保育所、小学校の先生方からも嬉しいお話をいただくことも増え、ご家庭での会話で「『原田コーチ』の名前が出てきて…」との話もたくさんいただきました。保護者でもなく、保育所の先生でもない、第三の大人である私が、子ども達にポジティブな影響を与えられているこの事実は事業を行っていくうえで何よりも励みになります。

小学校でのプログラムでの一コマ

体とともに自我の発達段階においては、プロの指導者に教わる以上に大切なことがあるのです。しっかりと子どもに寄り添い、見守る、そして承認の承認の声がけを徹底すること。

「第三の大人からの声がけ」が未だに残る私だからこそ、この子達にも、これからもその記憶を大切にしてもらいたい。またさらに今後も多くの子ども達の成長を目の前で見守り、声をかけて行けたら…と。

ちなみに私は、このプログラム以上に、家庭での教育やコミュニケーションが大切であるとも考えています。私自身も二人の子どもを持つ父親です。育児の大変さ・難しさは痛感していますが、せっかく保育所でプログラムを実施する以上、ご家庭での生活もサポートできれば…と、このプログラムに参加するご家庭には、プログラム当日の様子を動画で共有したり、ご自宅でも気軽に楽しく取り組んでもらえるプログラムなどもご提供しています。さらに保護者の皆さんとのコミュニケーションを意識していますが、皆さんからも好評の声をいただいています。

このような形で、保育所や小学校だけでない場面での関わりも増やしています。先月には「女川町・冬のプチ運動会」を実施し、子ども達55名、保護者70名と計125名の皆さんにもご参加いただくことができました。

「女川町・冬のプチ運動会」は今後も実施していきます

もちろん約20年間続けてきたスポーツが軸でもありますが、それ以上に子ども達がいきいきと過ごし、これからも成長していける空間をつくること。私の時間だけでなく、ご家庭でも実践いただけるようにサポートをすることです。子どもの教育に正解はありません。だからこそ今後も、子どもの教育について迷ったり、不安になる皆さんのサポートができたら、とも考えています。

女川での取り組みを全国へ、皆さんへお誘い

なお保育所では、定期的に運動能力検査(MKS幼児運動体力検査)も実施しています。22年度の取り組みでは、月日を重ねるごとに運動能力が向上している結果も見え、子ども達の自己肯定感だけでなく、運動能力の観点でも貢献することができました。

またこの結果については、後日noteに記しますが、定性的な部分だけでなく数値として定量的にも結果を残すことができたのは、これから事業を展開していくうえで大きな励みになりました。

現在は女川町という小さな町で行っていますが、日本ではまだまだ多くの地域で子ども達が生活を送っています。私一人では限界があるため、ぜひ、この想いに共感いただける方とともに日本中に広げていきたいと考えています。すでに、興味を持ってくださる方々、自治体の皆さんもいらっしゃいますが、さらに今回のnoteをご覧いただき、少しでも興味を持ってくださったのであれば、ぜひご連絡いただけますと幸いです。


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