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もつ鍋ぶんぶん

 もつ鍋のもつは新しくないとガムみたいに噛んでばかりで飲み込むタイミングが分からなくなる。ガムみたいというかガム。最初に食べたもつ鍋がそんなガムだったから私はもつ鍋があまり好きではなかった。でも新しいもつの入ったもつ鍋屋さんに行ったら、もつ鍋に入ってるのはガムじゃなく美味しいもつだった。私は衝撃を受けた。もつ鍋大好きになった。

私が今まで噛んでいたものは一体なんだったんだ。もつ鍋と称して私は本当にガムを食べてたのではなかろうか。もつ鍋を食べてると思って食事をしていたあの頃の私の時間は一体。もう何年も前のまだ高校を卒業したての私のもつ鍋を食べてた時間を。若かりし頃のもつ鍋を食べてた時間を。どうしてくれるんだ。あの時間はすべてガムだったというのか。噛んでも噛んでも飲み込めない。まるであの頃の悩みのようだ。悩んでも悩んでも解決しない。若かりし頃の悩み。あれも全てガムだったということなのか。そうゆうことか。。。

美味しいもつ鍋を知った私は、ガム鍋を食べていたあの頃の私より少しは大人になったということだろう。噛んでも噛んでも飲み込めないもつ鍋は食べなくなったし、悩んでも悩んでも解決しない事を考えたりしない。というか悩む体力がなくて寝てしまうようになった。

悩むにも噛むことも体力がいる。
青春はガムのようなもつ鍋だ。
吐き出すか飲み込むか噛み続けるか。
少年よ大志を抱け。

もつ鍋ぶんぶん
2023.3.26

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