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この空の下で。

こんにちは
kanaria63です

まだまだ太陽が厳しい日中。
朝晩の虫の声が
やっぱり秋ではある
と思わせてくれます。

「蛍川」がきっかけで宮本輝さんの
小説にはまりました。
それはもう40年も前の事になります。

以前、年配の女性のお客さんの施術中その方が本が好きでストレスの発散は本の中に入り込む事だったと聞きました。
「誰の本が好きですか?」ときくと
「宮本輝かな」
「⁉️」

まだ施術もデビュー一年でお話するのも必死な私。
おまけにお客さんの層が比較的金銭的に余裕のある方々で私には経験のない
生活の方が多く、話の運びもぎこちない状況でした。
その方も旦那さんは会社社長という方でした。

「ピンポイントできたの初めてです!私も宮本輝さんの本が大好きです」
そして足もみをしながら
「宮本輝小説談義」に花が咲きました。
一日の終わりまで体が楽しんでいました。
いつもは自分の生活とはかけ離れた話を必死に爪先立ちで話しているけれど、今日はほんの1時間ですが
「私」として話ができた。
施術は難しい足でしたが、申し訳ないけれど久しぶりに「はしゃいだ」感じでした。
宮本さんの書く本には不思議な力があります。
悩み、苦悩を抱えてさまよっている時に出会う何の関係もない人、出来事、言葉、景色。一瞬に何かが「おちる」
あんなに体の途中につまっていた事が
突然「ふわっ」と弾けておちる。
自分の答えが体に染みていく。
雲が晴れて太陽の光の先が見えてきた時に似た瞬間。
読んでいて体感できる。
宮本さんのこれが好きです。

だから私は色んな事に出会いたいと思います。
私の体が何を見て、何を聞いて、
何に触れてもとんでもないところから得られる何かがあるかもしれない。

そして、もしかしたら
私のどうでもいい話が、人に与える事がほんの少しでもあるかもしれない。
この空の下
誰の存在も、この毎日も決して
「0」ではない。

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