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『お中元とかお歳暮とか』

この時期になると、デパートにお中元の特設コーナーが開設されて、連日活気づいている。

この前、たまたま用事があって、地元のデパートに開店直後に行ってきたんだけど、朝っぱらからお中元コーナーは盛況で、「こんな朝から選ぶのか」とちょっと驚いた。

そんなに盛り上がってるなら、と、特に用事もないのに、周りにつられてコーナーを覗いてみたりなんかして。

そこには美味しそうなものがたくさんある。
ど定番のハムの詰め合わせとか。
特産のフルーツとか。
有名なブランド牛とか。
漁港直送の新鮮なお魚とか。
都内のパティスリーの限定スイーツとか。
その土地ごとにいろいろなものがあって、それを眺めるたびに、私は「いいなあ」って思ってる。

お中元とかお歳暮とか。
貰ったこともないし、贈ったこともない。

父が存命の頃は別だけど、ウチの親戚はほぼ地元に固まっているし、県外の親戚とは没交渉。
職場ではそういうことをしない風潮で。
結婚してから、旦那のご家族に贈らなければならないか、と考えたこともあったけど、家族縁の薄い人だから、わざわざそんなことしなくていい、って言うし。

だから、我が家にはお中元もお歳暮も、どれだけ待っても来ることはない。

ちょっと寂しい。
ちょっとだけだけど。

思えば子供のころ、夏休みに県外の親戚の家とか、祖父母の家に泊まりにいく同級生が、羨ましかったことを思い出す。

祖父母の家は同じ市内だし。
私はそういう機会に恵まれなかった。

だから、夏休み明けの学校で、県外のお土産を配る同級生たちをみていると、なんとなく「いいなあ」って羨ましくなったものだ。

まあ、自分ちだって、県外に旅行は行ってるんだけどさ。

でも旅行とかじゃなくて、祖父母の家で親戚一同たくさん集まって、同世代の子供たちと遊んだり、花火をしたり、観光地に連れてってもらったり。

海の近くに祖父母の家がある子なんかが、毎日海で遊んでいたとか。
山の近くに祖父母の家がある子が、おじいちゃんとカブトムシを捕まえに行ったとか。
そういう話を聞くと「なんでウチには、遠いとこに住む親戚がいないんだろ」と思ってた。

昔、一度だけ爺ちゃんにそんな愚痴をこぼしたことがある。

「〇〇は、夏休みは爺ちゃんの家に行って、山で遊んでるんだって。いいなぁ」なんて。

爺ちゃんは、いつもの優しい顔で「そうかあ」と黙って話を聞いてくれていたけれど、次の日、わざわざ地元の遊園地に遊びに連れていってくれた。

「ここにはカブトムシはいないけど、リトは虫嫌いだから、こっちのほうがいいだろ?」って。

そういう出来事を思い出すと、なんだかんだ、私は愛されてたんだなぁって実感する。

遠い土地に住む親戚はいないし。
遊びに連れてってもらうのはいつも地元。
県外に旅行することはあったけど、お盆だからって大勢の親戚が集まるわけでもないし、同じ年頃のいとこたちと遊んだことも、ごく一部を除いてほとんどないけれど。

でも、そのぶん、愛情はたくさん注いでもらった、って思う。

これからも、我が家にお中元やお歳暮が届くことはないけれど。

そのほうが煩わしくなくていいじゃん。
って、思えるくらい大人にはなったから。

ちょっと寂しいけど、それはそれでいいか、って、今は思っておこうかな。

もしもサポートをいただけたら。 旦那(´・ω・`)のおかず🍖が1品増えるか、母(。・ω・。)のおやつ🍫がひとつ増えるか、嫁( ゚д゚)のプリン🍮が冷蔵庫に1個増えます。たぶん。