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『人生で初めて台車に乗って運ばれた話』

傍若無人な嫁として、日々暴れ倒してる私でございますが、実はひとつ、弱点がございます。
それは、腰と、足(膝)。

10代の頃から、ギックリ腰という爆弾を抱えているので、重いものを持つと腰をすぐ痛めますし、膝は数年前、靭帯をブチィッしてから、ちょっとしたことで痛くなるのです。

なので、かかりつけの整形外科の先生とも仲が良く、先生は私が子供の頃からずっと診てくれてるんですけどね。

その先生から「膝と腰が痛いなら痩せる努力をしろ」と毎度のように言われておりますが、全く痩せる気のない患者は私です、ハイ。

そんで、この先生に名前と顔を完全に認知されてしまうキッカケになったのが、『台車事件』。
未だに顔をあわせると、「台車に乗って病院に来た患者はキミくらいのものだよ」と言われます。

あれは、私がまだ前職で働いているころの話。

私の前職は、昔、noteでお話させていただいた通り、農産物直売所の店員だったわけなのですが、まあ、コレがなかなかの肉体労働でございまして。

野菜ってね、見た目より重いんですよね。

ウチは“折れコン“(たたむことが出来るコンテナのこと)を多用する店だったので、ありとあらゆる野菜を“折れコン“に詰め込んで、毎朝品出しをするんですけど。

たまたまその日は、朝イチで特売の白菜が入ったので、午前中に売り切ってしまおうと、急いでその品出しをしてたんですよ。

今考えるとホント、非効率極まりないと思うんですけど、白菜ひとつ出すにもそのまま出していいわけじゃなくて、汚い葉っぱをむしったりとか、葉っぱが広がらないようにテープ巻いたりとか、色々しなきゃいけなくてですね。

渋々重い白菜を抱えて、テープ巻いて、折れコンに並べて、トップに出して、って、せせこましく動いていたのです。

あらかた出し終わって、あと4つくらい、白菜にテープかけたら終わりかな、ってところで。
下に置いてあった白菜を、よいしょ、っと持ち上げた拍子に、やっちまったんですよね。

腰を。思い切り。ギクゥッッ!と。

ギックリ腰って、面白いんですよ。
あれ、本当に音するんです、腰から。
ギク、というか、ゴキ、というか。
ボキッッッみたいななんとも言えなーい音が。

(アッーーー!)
と思ったときには、時すでに遅し。
瞬く間にやってくる激痛。
そして全身から冷や汗。

目の前にあったテーブルをガッッと引っ掴んだのはいいんですけど、もうそれで一貫の終わり。
へなへなへな、と床に膝をついて、そこからもうリアルに一歩も動けません。

これ、マジで動けないのです。
立ち上がることも出来なければ、体勢を変えることも無理。

冷や汗ダラッダラ流しながら、とりあえず、1番仲の良かったスタッフの名前を叫んで、「どうしたの!?!」とすっ飛んできた彼女の手を借りて。
事務所まで避難しようとしたんですが、足を動かすだけでマジでチョー痛い。

「あ、コレは本気でヤバイ」と悟ったんですが、自分じゃどうにも出来ないし、私の体を支えてくれる彼女も、動かそうとするたびに「ぐぬううう」と気持ち悪い悲鳴をあげる人間をどうしたらいいのかわからなくなったんでしょうね。

仕方なく、当時の店長を呼びました。
当時の店長は男性で、結構筋骨隆々で。
私ひとりなら、軽く抱え上げられるくらいの男。
当時はね、私も軽かったんですよ、物理的に。

店長と仲の良かった彼女、ふたりがかりでなんとか事務所に運んでもらったのはいいものの、問題は、このあとどうしよう、ってこと。

当時の私は徒歩通勤。
家は近いんですが、それでも歩いて15分はかかります。

この状態で?15分?歩けと?
いや、無理。

そもそも事務所から出ることすら無理そう。

そこで、店長がぴーん!と閃いた顔をして、外からガラガラとあるものを押してきました。
そう、台車です。台車。
人のひとりくらい、軽く乗れそうな台車。

「送ってやるから乗れ」とキメ顔でカッコいいセリフを言ってくれますが、乗れ、と指されたものは台車ですよ。

なにが悲しくて台車で運ばれにゃならんのか。

とはいえ、背に腹はかえられぬ。
ええ、乗りましたよ、台車。
仕方ない話なんだけど、あれね、腰に振動がダイレクトで来るから痛いんだ、結構。

店内のお客さまは何事かと台車で運ばれる私をギョッと見てくるし、むしろみんな爆笑してるし、こっちは痛くて死にそう以前に恥ずかしくて死にそうです。

台車ごと積み込めるように、社用車のハイエースまで出してくれまして、そのまんま積載された私はとりあえず病院に直行。

もうはずかしいもクソもねえわ、と店長に台車を押してもらって、整形外科に運ばれたという。

それを見た先生は爆笑。
実は昔、私の母も同じような経緯で運ばれたことがあるらしく、「ああ、見たことある顔だと思ったら、〇〇さんの娘さんかぁ。親子だねぇ」としみじみ呟かれました。

今の職場でもたまーに台車使うんですけど。
もし職場でギックリ腰やらかしたら、私はまた台車で運ばれるんだろうか……と大変危惧しております。

みなさん、どうか腰は大切に。

もしもサポートをいただけたら。 旦那(´・ω・`)のおかず🍖が1品増えるか、母(。・ω・。)のおやつ🍫がひとつ増えるか、嫁( ゚д゚)のプリン🍮が冷蔵庫に1個増えます。たぶん。