べんちーに

読書と家族を愛する地方公務員。3児の父。首都圏出身だが、結婚のために地方都市に移住。読…

べんちーに

読書と家族を愛する地方公務員。3児の父。首都圏出身だが、結婚のために地方都市に移住。読書して自分なりに考えたことを発信中。

最近の記事

【読書note_017】13歳からのアート思考 末永幸歩

これから求められる「アート思考」とは 本書は、現代アートの作品解説を通じて、自分だけの視点で物事を見て自分なりの答えを作り出す「アート思考」の重要性について、説明した本です 本書を読み進めていく中で、私は幾度となく欲求不満を感じました。最初に読み進めている最中には、この欲求不満の正体が何なのか、よく分かりませんでした。ところが、読了後繰り返し立ち止まりながら読み返したことで、この欲求不満の正体に気付くことができたのです。 本稿では、私が欲求不満を感じた理由を探ることで、不確実

    • 【読書note_016】インテグラル・シンキング 鈴木規夫

      「統合的思考」とは 本書は、多種多様な情報を有機的につなぎ合わせる「統合的思考法」について解説した本です。情報の絶対量が爆発的に増えた現代では、情報をまとめる力の必要性が飛躍的に高まっています。 本書を通読した直後は、この思考法が求める次元の高さに圧倒され、上手く咀嚼することができませんでした。何度も読み返した今でも、その根幹部分を心から理解したとは言えませんが、私が強く印象に残った箇所を掘り下げることで、本書の理解を深めたいと思います。 P10に、統合的思考法とは 「多様

      • 【読書note_015】シン・二ホン 安宅和人

        著者が重要視する「問いを立てる力」と「妄想力」 本書は、ヤフーのCSOでありながら慶應義塾大学SFCで教鞭をとり、政府会議の委員も務める著者が、様々なファクトから日本の現状を分析したうえで、未来への希望について記した本です。 正直に言って、中盤から後半にかけて記されていた日本の厳しい状況に、切ない気持ちになりました。 特に、第5章で説明されている科学技術予算や大学への投資金額の少なさについては、意思決定者である政府が覚悟を決めて決断さえすれば、すぐにでも変えられるものではな

        • 【読書note_014】武士の娘 杉本鉞子

          武士家庭の教育水準の高さ 本書は、長岡藩の家老の娘として生まれ、厳しい教育を受けた著者が、渡米して貿易商の杉本氏と結婚しアメリカでの生活を経験したことで、日米の文化の違いについて感じたことを記した自伝的エッセイです。 衝撃的だったのは、当時僅か6歳の著者が漢籍を学び、その2時間ほどの勉強の最中には畳の上に正座したまま微動だにすることも許されなかった、という要求水準の高さです。 現代であれば、6歳の子どもはもちろん、成人した大人でも2時間もの間正座で一切動かないことは不可能で

        【読書note_017】13歳からのアート思考 末永幸歩

          【読書note_013】AI vs 教科書が読めない子どもたち 新井紀子

          AIと人間の決定的な違いとは 本書は、数学者であり、人工知能プロジェクト『ロボットは東大に入れるか』のプロジェクトディレクタを務める著者が、AIにできることとできないことを具体的に説明した上で、教科書を理解できない現代の子供達の読解力に警鐘を鳴らした本です。 本書を通読してまず面白いと感じたことは、著者が可視化することに成功したAIと人間の違いです。 著者は、「東ロボくん」プロジェクトとRST(リーディングスキルテスト)を通じて、 ・AIに代替されてしまう能力は何か ・A

          【読書note_013】AI vs 教科書が読めない子どもたち 新井紀子

          【読書note_012】反応しない練習 草薙龍瞬

          「心の反応」とは 本書は、僧侶でありながら特定の宗派に属さず、実用的な仏教の本質を伝える活動をしている著者が、心の無駄な反応をやめることで、一切の悩み・苦しみから解放されるブッダの合理的な考え方について解説した本です。 著者は、「無駄な反応をやめる」ことは、無理して我慢することや、無視すること、無関心でいることとは違うと明言しています。 確かに、怒りや悲しみ、不安といった負の感情を不要な「心の反応」と捉え、こういった反応を我慢するのでなく、そもそも「やめる」ことができれば

          【読書note_012】反応しない練習 草薙龍瞬

          【読書note_011】成長マインドセット 吉田行宏

          「成長」の本質 本書は、元株式会社ガリバーインターナショナルの専務取締役で、人事や評価制度構築、社員教育に携わってきた著者が、成長の本質や原理原則について物語形式でまとめた本です。 本書の中では、成長を5つの要素に分解して解説しています。 1 バランスのよいアイスバーグ(成果・能力・行動・意識の4階層モデル)の成長 2 悩みブレーキを外す 3 大きな子供ブレーキを外す 4 自分理念・自分軸アクセルを踏む 5 正しく強い動機アクセルを踏む この中で、ユニークだと思ったのは、

          【読書note_011】成長マインドセット 吉田行宏

          【読書note_010】ケーキの切れない非行少年たち 宮口幸治

          非行少年に欠如している認知能力 本書は、児童精神科医である著者が、非行少年の中に多数存在する、認知力の低い「反省以前の子ども」達の実態について解説した本です。 第1章に、本書の目的は 「犯罪者を納税者に変えて社会を豊かにすること」 とあります。 その目的の大きさに最初は驚きましたが、非行化した少年たちが共通して抱える苦悩や非行過程を知り、こうした知識が多くの人に共有されれば、犯罪者を納税者に変えていくことも夢ではないように思えました。 本書の中で印象的だったのは、多くの

          【読書note_010】ケーキの切れない非行少年たち 宮口幸治

          【読書note_009】最軽量のマネジメント 山田理

          理想のマネジメントとは? 本書は、働き方改革の先進企業であるサイボウズで副社長を務める著者が、マネジメント機能を最小限にする組織運営の仕組みについて、自社の事例を交えながら解説した本です。 著者は、マネージャーの役割を最小限に抑える「最軽量のマネジメント」が理想だといいます。 『この本を書く本当の理由。 それは、極論サイボウズは「マネジメントなんていらない組織が理想だ」と考えているからです。 「これからのマネジャーはどうすべきか」という重荷ではなく、 「どうすればマネジャ

          【読書note_009】最軽量のマネジメント 山田理

          【読書note_008】サードウェイ 山口絵理子

          妥協しない「サードウェイ」を行く 本書は、「途上国から世界で通用するブランドを作る」ことを スローガンに掲げ、バングラデシュやネパールなどの発展途上国から 鞄や服、ジュエリーなどを製造・販売する株式会社マザーハウスを設立した著者が、相反する二軸を掛け合わせて新しい道を創造する 「サードウェイ」の考え方について、解説した本です。 本書では、マザーハウスを設立し奮闘する中で、 著者が葛藤し乗り越えてきた二項対立の例がいくつも挙げられています。 例えば、  ・社会性とビジネス  

          【読書note_008】サードウェイ 山口絵理子

          【読書note_007】銀行王 安田善次郎 北康利

          克己心が成功の要諦 本書は、日本を代表するメガバンクの礎を築いた、 銀行王・安田善次郎の生涯について記したノンフィクションです。 正直に言って、安田善次郎のことは名前を聞いたことがある程度の認識しかありませんでしたが、 本書を読んで、その人間性に強く惹かれました。 安田善次郎の成功要因として特筆すべきは、その克己心です。 自らを強く律して戒め、銀行員として、人間としてあるべき姿を追求して 行動していく様は、現代人に最も欠けている姿勢だと感じました。 善次郎の克己心を象徴

          【読書note_007】銀行王 安田善次郎 北康利

          【読書note_006】ファクトフルネス ハンス・ロスリング他

          先入観と認知バイアスが世界を歪める 私は、本書のメイン著者であるハンス・ロスリング氏のTEDトークの大ファンでした。 躍動するバブルチャートと軽妙な語り口は、思わず引き込まれてしまう魅力に溢れており、統計データの無味乾燥なイメージを一変させてくれました。 本書は、そんな統計データの専門家である著者が、人間の持つ認知バイアスについて、10の本能により分かりやすく解説した本です。 イントロダクションの中で著者は、 「ドラマチックすぎる世界の見方」をしてしまう原因は、 知識の

          【読書note_006】ファクトフルネス ハンス・ロスリング他

          【読書note_005】ホモ・デウス ユヴァル・ノア・ハラリ

          神性を獲得する人類「ホモ・デウス」 本書は、イスラエルの歴史学者である著者が、歴史的な考察を通して、ホモ・サピエンスが自らをアップデートさせ、神性を獲得した「ホモ・デウス」へと進化させる過程について論じた本です。 読了直後は、その内容の広さと深さに圧倒され、消化不良というのが正直なところでした。 その後、気になったところを中心に2回、3回読み重ねると、著者が持つ見識の広さとその洞察の秀逸さに改めて圧倒されるとともに、いろいろと考えさせられました。 この10年間で、インターネ

          【読書note_005】ホモ・デウス ユヴァル・ノア・ハラリ

          【読書note_004】Jimmy 明石家さんま

          マイナス思考×プラス思考 本書は、超マイナス思考のジミー大西が、超プラス思考の明石家さんまと出会って、人生を激変させていく過程を描いた物語です。 本書では、2人の対極的な考え方が分かるエピソードがいくつもちりばめられていますが、 同じ事象に対して2人が真逆の反応をする印象的なエピソードが2つありました。 1つは、大西が吉本新喜劇で放送禁止用語を叫ぶ大失敗をやらかした後に、さんまと話す場面です。 大西は幼少期から現在に至るまで自分がどんな失敗をしてきたか、 どれだけダメな人

          【読書note_004】Jimmy 明石家さんま

          【読書note_003】プレイングマネジャー「残業ゼロ」の仕事術 小室淑恵

          マネージャーは頑張るな 本書は、コンサルタントとして約1000社に働き方改革のノウハウを提供してきた著者が、チームとして最大の生産性を上げるにはどうすれば良いか、具体的な手法も交えて解説した本です。 まず印象的だったのは、 プレーヤーとしての仕事を頑張るマネジャーが NG だということです。 マネジャーがひとりで頑張って成果を上げ始めると、 かえってチームのモチベーションを下げるという結果を招くのです。 マネージャーが「自分がなんとかしなければ」と考えることは、 裏返せば

          【読書note_003】プレイングマネジャー「残業ゼロ」の仕事術 小室淑恵

          【読書note_002】売上を減らそう。 中村朱美

          非常識な飲食店経営 本書は、1日100食限定という異色のステーキ丼専門店「佰食屋」を創業した著者が、その驚くべきコンセプトのお店がどのようにして生まれたのか、記した本です。 特筆すべきは、数々の非常識を断行することよって実現した効率経営です。 佰食屋が行っている非常識はいくつかありますが、その代表的なものをいくつか挙げてみたいと思います。 まず一つ目は、売上に上限を設定している点です。 佰食屋では、1日に100食しか売りません。 週末でも観光シーズンでも、100食しか売らな

          【読書note_002】売上を減らそう。 中村朱美