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[エッセイ]兄妹喧嘩では絶対に負けない。

私には2つ年上の兄がいる。
ずる賢く、そして意地悪な兄貴だ。
人が嫌がっている姿を見て、歯を剥き出しにし、大笑いするとんでもなく
腐っている奴。
私は小さい頃から奴と戦ってきた。
性別なんて関係ない。やられたら、絶対にやり返す。

暗闇が怖い私を布団の中に閉じ込め、泣いている姿を見て
大笑いする奴。でも負けない。絶対にやりかえしてやる。

兄の腕を掴み思いっきり噛む。
兄が泣くまでひたすら噛む。
兄の腕にわたしの歯型がくっきりとついたと同時に大きな声で泣きじゃくる兄貴。

一階にいる母が急いで階段を登り
私たちの元へやってくる。

“いい加減にしなさい“

部屋中に響き渡る母の怒鳴り声。
きーんとした甲高い声である。

母の“いい加減にしなさい“と学校の先生の“いい加減にしなさい“は
どこか違う何かがある。

なぜ私たちが喧嘩をしたのか、母が問い詰めてくる。

口下手な私は何も言えない。このジメジメとした空気が早く無くなることを
ひたすら祈るだけ。
一方で口が達者な兄はじぶんの都合がいいように喧嘩の経緯をペちゃくちゃ、そしてダラダラと説明する。

そんなタラタラ話さずにもっと簡潔に話せよなと心の声が言う。

そして自分がまるで悲劇のヒロインかのように仕立てる兄に呆れる。

母は静かに兄の説明を聞き、2秒くらい一呼吸をおいた後
“リッセ(私)は狂犬病の注射を打ちに行くよ“

狂犬病の注射とは何かはわからなかったが
怖いものであるんだなと理解するとともに
なぜ先に手をだした兄貴が怒られずに私が怒られるのか
どうしてもわからなかった。

でも、そんなこと口にして言えないから
コクリと頷いて、この戦いを終える。

そして、私たち兄弟は何度も何度も同じ喧嘩を繰り返し、
兄は口が更に達者になり、私は思っていることを口にすることが
更に難しい子になってしまった。

でも喧嘩でいつも先に降参するのは兄貴だったから
間違いなく私がお前に負けたことはなかったことになる。

ざまぁみろ。

最後までご拝読ありがとうございました。少し乱暴な言葉遣いになってしまいましたが、楽しんでいただけたのであれば幸いです。

みなさんは兄弟喧嘩をしたことがありますか?
今までしてきた喧嘩内容、コメントに残してくれたら嬉しいです。

それでは
Have A Good Night.


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