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世界陶磁器めぐり~ヨーロッパ編④「アラビア」~

「世界陶磁器めぐり」の第4回です。

イギリスから北へ。北欧・フィンランドに向かいます。
北欧食器と言えば?の問に代表格として名前があがるのが「アラビア」です。

❖アラビアとは?

アラビアの興りは1873年。フィンランドの首都・ヘルシンキ郊外にあるアラビアという土地にて設立されたのですが、この窯をつくったのはスウェーデンの陶磁器ブランド・ロールストランドでした。

なぜスウェーデンの会社がフィンランドで生産をはじめたのか?それは設立当初のアラビアが、ロシア向けの製品であったということにあります。
当時のフィンランドはまだ独立しておらず、ロシア領でした。そのため、フィンランドで製品生産を行えば、関税が安く済むという算段があったのです。


❖アラビアの歴史

「アラビア」ブランドは、1874年から出荷を開始。
初期のラインナップは、衛生用陶磁器やダイニング用の陶磁器製品が主でした。1880年~1900年のあいだの20年で、アラビアは製品ラインナップをさらに拡充。国内の好景気も後押しし、スピード発展。フィンランドの陶器製品の出荷数の約半数を占めるまでになります。

1900年のパリ万国博覧会では、出展されたアラビア製品が金賞を受賞。その装飾技術は、国内外から高い評価を受けることになります。

第一次世界大戦を迎えた1914年、アラビアは転機を迎えます。ロールストランドが、フィンランドの企業にアラビアの工場を売却。フィンランドがロシアから独立した後、幾度かの経済危機を乗り越えてアラビアは成長を続けます。しかし第2次世界大戦の勃発後、物価の上昇の影響を受けて資金繰りが苦しくなり、Wärtsilä社の資金援助を受けることに。
その後、結果的にWärtsilä社の子会社となります。

1945年には北欧デザインの巨匠カイ・フランクを迎え入れ、アラビアの名を世界中に知らしめることになります。

現在は、フィンランドのデザイン企業イッタラの傘下企業として活動しています。


❖アラビアの特徴

アラビアの特徴はその高い水準の芸術性・デザイン性と機能性にあります。まるみのあるシェイプにどっしりとした感触からは心地よい温もりが伝わってきます。使い勝手に配慮した実用的なアラビアは、シンプルで多用途に使えますが、華やかでアーティスティックなラインナップも多く取り揃え、非常に幅が広いのも、魅力です。

最後に、アラビアの人気シリーズを幾つかご紹介。


❖アラビアの人気シリーズ


「スンヌンタイ」
フィンランドの言葉で「日曜日」を意味するシリーズ。
製作期間が1971年~1974年と短いことから、ヴィンテージ市場でも希少な価値があるシリーズです。

「24hアベック」
畳の目のような繊細なタッチで書きこまれた文様が特徴的。
日本ではフィンランドを舞台にした映画「かもめ食堂」に登場したことも話題となりました。

「24h トゥオキオ」
うつわをパレットに見立て、食器のまわりをぐるりと囲む濃淡の美しい藍色のパターンを散りばめたシリーズ。使い手の想像力を掻き立て、和食にも洋食にもあわせやすいうつわです。

「パラティッシ」
夏の植物をモチーフとした力強いエネルギーがあふれるシリーズ。
青や黄色を多用して描かれた果物・植物が若々しい印象を放ちます。

「ムーミン」
フィンランドと言えば、ムーミン。
イッタラ社のマグカップをベースに1990年に発売されたムーミンのテーブルウェアシリーズ。コレクターも多く存在する人気シリーズです。

アラビアの日本公式オンラインショップはこちらです。


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