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この世界観、大好きかも*『陰陽師0』

平安時代や陰陽師のことを書いたのは1月でした。

このとき、映画『陰陽師ZERO』が楽しみと書いたけれど
ゴールデンウィークってまだ遠いなあ・・・
と思っていたら、もうGWです(驚)。

19日から公開が始まっていた『陰陽師ZERO』を観ました。
タイトルの写真は、入場のときに配られる岡野玲子さんのイラストカード、「0を愛でる清明」。
岡野さんの漫画「陰陽師」も、少し読んでいた時期があるので懐かしい。
そしてこのターコイズブルー、大好きな色です。

この記事を書き始めたとき、
noteでもすでに感想を書いている人がいるかと思って検索してみました。
他のSNS上のコメントもいろいろで賛否両論あり、アンチな意見も多そうです。
でも・・・少々ネタバレになりますが、
映画のなかで山崎賢人演じる若き安倍清明が
「事実と真実の違いを知っているか」
と、源博雅みなもとのひろまさに問うシーンがあります。

「事実とはあるがままの出来事、
真実とはその人物の主観により導かれた結論。
つまり、個人個人の受け取り方によって変化する概念であり、しゅ

このセリフを聞いたとき、
以前noteにも書いた、ダライラマ法王の講演で聞いた
「真実はひとつではない」という言葉を思い出して、にんまりしてしまいました。

何かを観たり聞いたりした時に感じたことは、人によって千差万別で
自分が感じたことが真実。
だから私にとってこの映画は、すごく好きな世界観で出来ている、好きな映画でした。
めったに買わないパンフレットも買ってしまったよ。

家に帰ってからもなんだか幸せな気分で、
陰陽師の映画を観て幸せってどういうこと??・・と思うけれど、
いくつものシーンや台詞がトリガーとなって
さまざまな感情が湧き上がったみたいです。

派手なVFXを含めて、細かいところまでこだわった美術がとにかく美しいです。
清明が授業をさぼって、入り浸っている書庫のシーンがあるのだけど
映像には映らないのに、書名などは全て現実にある術関係の本のタイトルなんだそう。
小道具もいろいろ置いてあって、
あそこに入って、じっくり見てみたい!と思いました。

原作の「陰陽師」(夢枕獏)の清明は40代とのことですが
『陰陽師ZERO』は、原作にはない安倍晴明の若いころを描いていて、27歳の設定。
育ての親である賀茂忠行かものただゆき(実在の陰陽師)にいわれて陰陽寮に入ったものの、さぼってばかりで、
正確なセリフは忘れてしまったけど、
まがいもので恐怖をあおって、解決したように見せ、力を得ようとする陰陽師なんかまったく興味がない、というようなことを言い放ちます。

人は多くのことを暗示や刷り込みや思い込みで判断しがちで、
現代であれば、SNSなどの情報に意識を誘導されている状態は、
しゅの影響下にあると言える、と。
佐藤監督は「この映画がしゅから抜け出すヒントになったらいいなと心から願っています」と言うだけあって、
前半は特に、やみくもに怪しげな表現が出てこなかったり(夜中に琴が鳴るなど不思議な場面はあったけど)、
清明が上のようなセリフを言って冷静だったりするので、逆に好感を持ちました。

だから、奈緒演じる徽子女王よしこじょおうが金の龍にさらわれたり、火龍かりゅう水龍すいりゅうが出てきたり、エゴの焔にまみれて殺し合ったりするシーンがあるのだけど、
それは無意識の世界で繰り広げられていて、
でもいつしか現実の世界にも現れてしまう、という描き方が
私にはとてもリアルに感じられました。
人は意識下で繋がっているから呼応する、というところも
ぐっときましたね。

面白いのは、すでに地位を得ている陰陽師たちの口から
「現実にこんなことが・・・」
というセリフが聞かれたことです。
陰陽師は占いや呪術を行うけれど、見鬼けんき(霊や妖怪など見えないものを視る能力と、それを持つ人)としては描かれていなくて、
それに対して清明は、その能力を持つものとして強調されていたようです。
能力に関しては玉石混交なのも、
今のスピリチュアル界と同じだなぁと感じました。

原作も、かつての野村萬斎さんの「陰陽師」も、もっと平安のおどろおどろしたホラーっぽい雰囲気だったので、それを期待するとちょっと違う映画です。

**
奈緒がとても可愛かったのです。
部屋に花びらが散っているところは、ちょっと散らしすぎじゃなかろうか、掃除したい・・とは思ったけど。
子供のころから親元を離れて、伊勢の斎宮を務めていたせいで
悲しみや寂しさや怒りをずっと抱えていて
それを爆発させるシーンがあるのだけど
なにかずっと抑えてきたものがある人が見ると、琴線に触れちゃうかも、というか、解放されちゃうかも?!
その演技が素晴らしくて、監督も編集作業中に泣きそうになってたそう。

**
衣装の色もこだわりがあるそうで、
清明は明るい青、「冷静や高潔さを持ちサイキックアタックを遮断するラピスラズリ色」。
博雅は、緑に青が入ったマラカイトの色。
「ポジティブもネガティブも増幅させる色で、清濁併せ呑みつつ徽子女王や清明との出会いで自分を見つめ直す博雅を表現」。
鉱物をテーマにしているとは思いませんでした。
そして徽子女王は情熱を表すマジェンダです。

他にも、陰陽寮の内部の柱や壁の文様はケルト文様をベースにしているそうだけど、そこまで目が行っていなくて。
そういえば、どこかにケルト風ぐるぐる模様あったかも。
ロケ地に京都の仁和寺があったのも気付かなかったし、
1度めはストーリーを追うのがメインになってしまうから、
もう1度行って細かいところを観てこようかと、ほんとに思っています。

BUMP OF CHICKENが歌うテーマ曲と映画のコラボレーションMusic Video。
映像が綺麗。
そして、清明が「事実と真実の違いは?」と問うシーンもあります。
(このシーンの中に、ケルト紋様風ありました!)


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