“全米が泣いた”系は泣けないという説
4回泣けるという約束だったが、実際は1回泣けるかどうかの代物。
たとえるならば、厳選された高級食材を使っているにも関わらず、古くなった油で炒め安物の調味料をふんだんに使い、最後はもこみち並みのオリーブオイルをぶっかけて仕上げられた料理を食べた後のような作品だった。
特にラストにまとめられた登場人物たちのカメラ目線で訴える青年の主張的演出は、監督が未熟なのか客をバカにしてるのか(きっと前者に違いないだろうが)、とにかく乾きに乾いた。
鑑賞する前よりからっからに乾いた。
劇場内に乾燥注意報が流れるほど乾いた。
乾き過ぎて試合前の力石みたいになった。
映画が映画だっただけにトールサイズのホットコーヒーをがぶ飲みした。
いつも以上に利尿作用が働いていたはずなのに、幽霊がトイレに行くシーンを繰り返し目の当たりにしても、、、もよおすことはなかった。
フニクリフニクラというオシャレな名前の喫茶店で、ある席に着いて有村架純から驚くほどにヌルいコーヒーを淹れてもらうと、自分が望んだ過去に戻る便利なシステム。
起こった出来事は変えられないものの、自分自身にケジメをつけることができるというセルフ・イタコ・ーヒー・タイム
さらに、ただでさえヌルいコーヒーを冷め切る前に飲み干さないと幽霊になり、二度と元に戻れなくなるという特典付き。
映画の中盤に用意された有村架純と石田ゆり子の関係暴露によって、完全にオチまで読めてしまう親切サービス。
有村架純の可愛さと、吉田羊、石田ゆり子、薬師丸ひろ子、そして松重らの演技力に助けられ何とか完走した。
作り手側の残念さと、まるでタバコのヤニで汚れたかのような波留の歯がいつまでも印象に残る作品だった。
★★☆☆☆
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